コラム:セブン&アイ買収、伊藤忠は出資で複雑な立場に
ブルームバーグが情報筋の話として報じたところによると、創業家や伊藤忠などの企業連合が現金と株式で3兆円を出資し、借り入れを抑える方針。
繊維、エネルギー、化学製品など幅広い事業を展開する伊藤忠は、食品卸売り部門を通じてセブン―イレブンとの既存の関係を強化する可能性がある。
外資系企業の買収に対するこうした防衛策は日本では過去にも見られる。経営危機に陥った東芝は、2023年に国内の投資ファンドによって買収された。同ファンドには20社ほどが出資し、多くは関係がある企業だった。
しかし、セブンとファミリーマートを合わせると、国内コンビニ市場のシェアは70%になる。これは恐らく高過ぎる。地震などの災害発生時に、コンビニは国民に対して重要なサービスを最初に提供する役割を担うというのが、セブン&アイの非公式な立場だ。大手コンビニチェーンが3社から2社に減少した場合、こうした役割が損なわれることになりかねない。
Chart showing market share of convenience store operators in Japanより議論の余地が少ない案としては、ファミリーマートとセブンの物流サービスを統合するという方法もある。統合により両社がそれぞれ独自に配送ドライバーを抱える必要がなくなる。ファミリーマートとセブンイレブンの店舗は隣接しているケースも多い。また、高齢化が進む日本では深刻な労働力不足に陥っている。
伊藤忠はセブン&アイへの出資を当初20%未満といった低い水準に抑えることで、独占禁止法上の問題を回避できるかもしれない。
最終的に伊藤忠の出資が受け入れられるかどうかは、日本の政策当局者が競争と労働力の効率性のどちらにより重点を置くかによって決まる可能性がある。
●背景となるニュース
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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Anshuman Daga is a Singapore-based Asia Columnist for Breakingviews. He writes on investment banking, corporate activity and financial services, with a focus on Southeast Asia. Anshuman switched to financial commentary after 25 years with Reuters News including in London and Mumbai. During his 15 years in the Lion City, Anshuman has covered the emergence of Southeast Asia’s tech startups and Singapore’s growing status as a financial centre.
Una Galani is Asia Editor of Reuters Breakingviews, based in Mumbai, overseeing a team of columnists across the region. She was previously in Hong Kong, Dubai and London. Breakingviews is the global financial commentary brand of Reuters delivering agenda-setting insight in real time on the most important events impacting global markets and companies.