IMF今年の世界成長3.3%に上げ、日本据え置き-米経済の強さ寄与

国際通貨基金(IMF)は、2025年の世界経済の成長率予想を上方修正した。米国の需要が想定以上に強いことに加え、世界的インフレ鈍化も各国・地域中央銀行に利下げ継続を促し、成長を後押しすると見込んだ。

  IMFは17日発表した最新の世界経済見通し(WEO)で、今年の世界の成長率を3.3%と予測し、昨年10月に公表した3.2%から引き上げた。26年の予想は3.3%に据え置いた。

  日本の今年の成長率は1.1%に据え置き、来年は0.8%とした。25年の米成長率は2.7%と、主要国・地域で最も大きく上方修正され、世界全体の成長見通し改善に寄与した。昨年10月公表の予測は2.2%だった。

  IMFのチーフエコノミストのピエール・オリビエ・グランシャ氏は記者団に対し、「注目すべきは米国と世界の他の地域との乖離(かいり)だ」と指摘した。

  おおまかに言って、米国がコロナ禍前の潜在成長率を回復したのに対し、中国とユーロ圏はそうではない。世界の成長見通しへのリスクはなお下向きだとIMFは分析した。

  25年の中国の成長率予想は4.5%から4.6%に引き上げ、ユーロ圏は1%と0.2ポイント下方修正した。

Source: International Monetary Fund

 トランプ次期米大統領就任の数日前に発表された今回のWEOは、次期政権で想定される貿易や税、移民、規制に関する経済プランを反映していない。

  IMFは大部分の政策が米国と世界の成長にとって短期的にプラスになり得るとしながらも、「不確実性は高い」と認識を示した。一連の政策は中期的リスクを伴う。

  2017年に時限措置として成立した「トランプ減税」の延長は国内総生産(GDP)を押し上げ、グローバル経済にも一定の「プラスの波及効果」が期待される。しかし長期的には財政政策のより大幅な縮小が必要になりかねず、「波乱要因になる恐れ」がある。

  グランシャ氏によれば、そうした事情もあって、米連邦準備制度は従来予想されたほど速いペースで利下げできず、利上げを迫られることさえあり得る。ドル高は新興国・地域を中心に米国以外の地域でインフレ圧力を高める可能性がある。

  世界全体のインフレ率は昨年の5.7%から今年が4.2%、来年は3.5%に鈍化し、景気抑制的でない金融政策で成長を支えることが可能になるとIMFはみている。

Forecasted change in gross domestic product (YoY)

Source: IMF

原題:IMF Raises Global Economic Growth Forecast on Stronger US Demand(抜粋)

関連記事: