新水族館にサンゴの海、関東最大級の水槽彩る…「東京の観光名所に」街活性化へ期待の声
東京都稲城市で整備が進む「TOKYO GIANTS TOWN」(東京ジャイアンツタウン)の水族館の建設計画が本格始動した。全国でも例を見ない球場と一体型の水族館は、関東最大級の大水槽を備え、全方位を眺められる水中回廊も設けられる予定だ。運営するよみうりランドは、かつて同園にあった海水水族館のノウハウなども生かしながら、幅広い魅力を備えた水族館を目指している。
水族館はスタジアムの芝生外野席からコンコース経由でアクセスできる(イメージ)新水族館は、3月1日に開業する読売巨人軍の新ファーム球場「ジャイアンツタウンスタジアム」の芝生外野席からコンコースを通ってアクセスできる。目玉は色彩豊かなサンゴ礁の海を再現した水量1300トンの大水槽で、内部には360度スケルトンになっている水中回廊を設けて、来館者が海中を散歩するような感覚を楽しめるようにする。
屋外展示エリアには、アシカたちがのびのび暮らす様子を見学できる「アシカの楽園」を設ける。現在よみうりランドで暮らすアシカが移住する予定で、来館者は飼育員の付き添いで、触れ合うこともできるようにする。
1964年に開館し、2000年に閉館したよみうりランドの旧海水水族館に展示されていたシーラカンスの標本も展示する。フランス政府が1967年にシーラカンスとしては初めて日本に寄贈した標本で、旧水族館の閉館後は他施設に貸与されていたが、新水族館の開業に備えて戻ってきた。
新水族館の展示総水槽容量は、旧水族館(1280トン)を大幅に上回る2000トンになる。旧水族館では海水をピストン輸送していたが、新水族館では人工海水を使い、最新の 濾過(ろか) システムを導入することで水の使用量を減らすこともできるという。
起工式の後、よみうりランドの北原融取締役(左端)の説明を聞く(右端から)読売巨人軍の国松徹社長、よみうりランドの溝口烈社長、稲城市の高橋勝浩市長、読売新聞東京本社の村岡彰敏社長、読売新聞グループ本社の山口寿一社長(23日、稲城市で)=三輪洋子撮影旧水族館で飼育係を務めたよみうりランド水族館建設準備室の小川修一主幹(46)は「新水族館の大水槽だけで旧水族館全体の水量を上回る規模になる。サンゴ礁域の魚を展示するのも珍しく、他施設にない魅力になる」と意気込む。
よみうりランドは全天候・全世代型の遊園地を目指し、雨天時でも楽しめるように屋内アトラクションの整備も進めてきた。経営企画室の岩村晃室長(53)は「素晴らしい水族館を完成させ、どんな天候でも楽しい一日を過ごしてもらえるようにしたい」と力を込めた。
「客層広がる」「球場と併設は良いアイデア」
四半世紀ぶりに水族館が「復活」することに、地元からは街の活性化などへの期待や歓迎の声が相次いだ。
稲城市の高橋勝浩市長は23日に建設予定地で行われた起工式であいさつに立ち、「スポーツとエンターテインメントが融合した他に類を見ない拠点ができる。東京の観光名所となるように期待したい」と語った。
また、かつてよみうりランドにあった水族館に何度も訪れたという同市商工会の奈良部義彦会長(70)は、「家族で来て、父が野球、母と子供は水族館といった楽しみ方もできるので、球場と水族館を併設することは良いアイデアだと思う」と評価しつつ、「あわせて街を散策してもらえば、地域の商店街の活性化にもつながるはず」と期待を寄せた。
一方、小田急線読売ランド前駅(川崎市多摩区)近くの商店街「西生田商盛会」の山田茂会長(70)も「水族館ができれば客層の広がりも期待できる」と歓迎し、「読売ランド前駅からも多くの人が乗り降りし、地元の発展にもつながるといい」と話した。