中国から加州主要港へ向かう貨物船がゼロに、コロナ以来の事態 米当局者

港湾のコンテナターミナルに貨物船が停泊し、コンテナの積み下ろしを行う様子=9日、中国江蘇省連雲港/Costfoto/NurPhoto/Getty Images

(CNN) 米西海岸の港湾当局者は9日午前、衝撃的な光景についてCNNに語った。直近の12時間、中国を出発して西海岸の2大港湾へ向かう貨物船が1隻も無かったのだ。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後は起きていなかった事態だ。

6日前の時点では、カリフォルニア州のロサンゼルス港とロングビーチ港を含むサンペドロ湾コンプレックス(複合港)へ向かう船41隻の出港が予定されていた。それが9日にゼロになった。

トランプ米大統領は貿易戦争の一環で先月、中国製品の大半に巨額関税を課した。これに伴い、米国の港へ向かう貨物船の数や積載量は減少。中国は米国の最重要貿易相手国の一つだが、多くの企業にとって中国との取引はコストが高くつきすぎる状況になっている。

当局者の間では、中国を出発する船の少なさだけでなく、減少スピードについても懸念の声が上がる。

「これは憂慮すべき状況だ」。ロングビーチ港のマリオ・コルデロ最高経営責任者(CEO)はそう語り、キャンセルや入港する船の減少は「パンデミック中も目にしなかった数に上っている」と明らかにした。

米国で取扱量の多い港湾は軒並み、貨物の急減に見舞われている。ロングビーチ港では通常の貨物量に比べ35〜40%減少。ロサンゼルス港は今週31%減となり、ニューヨーク・ニュージャージー港も減速に身構えている。7日には、シアトル港がコンテナ船がゼロになったと発表したが、これもパンデミック以降は無かった異常事態だ。

シアトル港の責任者ライアン・カルキンズ氏はCNNに対し、「単純に何も船で運ばれてこないからだ」と説明した。

ロサンゼルス港に停泊するコンテナ船=6日、カリフォルニア州サンペドロ/Justin Sullivan/Getty Images

米中両国の通商代表団は今週末、貿易戦争の沈静化をめざしスイスのジュネーブで初の対面協議を行う予定。中国から米国へ向かう製品の大半には145%、米国から中国への輸出品の大半には125%の関税が課されている。トランプ氏は9日、対中関税を80%へ引き下げる考えを示唆しつつも、最終的な条件はベッセント財務長官に委ねると述べた。

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