ゼレンスキー氏「答えてもよいか」、トランプ氏「だめだ」…首脳会談で口論の主なやりとり
米国とウクライナの首脳会談冒頭での口論の主なやり取りは以下の通り。
激しい応酬に発展したウクライナのゼレンスキー大統領(左)と米国のトランプ大統領の会談(2月28日)=ロイター「外交」の意味
【バンス副大統領】米国には4年間にわたりプーチン氏に強硬な発言をする(バイデン)大統領がいた。そして、プーチン氏はウクライナに侵攻し、多くの地域を破壊した。平和と繁栄への道とは、外交に関与することだ。まさにトランプ氏が行っていることだ。
【ゼレンスキー大統領】聞いてもよいか。
【バンス氏】もちろんだ。
【ゼレンスキー氏】彼(プーチン氏)は、2014年からウクライナの東部の一部とクリミアを占領している。バイデン政権下だけではない。(この間の歴代米大統領は)オバマ氏、トランプ氏、バイデン氏、そしてまたトランプ氏だ。今、トランプ氏がプーチン氏を止めてくれるであろうことを神に感謝したい。ただ、14年に彼を止めてくれる人はいなかった。ウクライナ領を奪い、人を殺した。
【トランプ大統領】14年に私はここにいなかった。
【ゼレンスキー氏】そうだが、14年から22年まで、前線で人々が死んでいく状況は同じだった。彼(プーチン氏)を止める人はいなかった。我々は彼とも多くの対話を行った。私も大統領のように取引を行い、19年に仏独の首脳を交えて停戦の協定に署名した。全員が私に「彼は決してもう戦争をしない」と言ったが、彼は停戦を破り、私たちの国民を殺し、捕虜の交換にも応じなかった。
J・D(バンス氏)、あなたが言う外交とは一体どういう意味だ。
【バンス氏】私が言っている外交とは、あなたの国が破壊されるのを止めることだ。この大統領執務室にやってきて、米国のメディアの前でそのような訴えをするのは失礼だ。ウクライナは人手が足りず、徴集兵を前線に駆り出している。トランプ氏がこの紛争を終わらせようとしていることに感謝するべきだ。
【ゼレンスキー氏】あなたはウクライナに来て、我々が抱えている問題を実際に見たことがあるのか。一度来たらいい。
【バンス氏】実際に報道を見るなどしている。あなたが訪問者を「プロパガンダツアー」に連れていっていることも知っている。
【ゼレンスキー氏】戦時にはすべての国が問題を抱える。米国もだ。(欧州との間には)素晴らしい海があり、今はわからないかもしれないが将来感じることになる。神のご加護で米国にも戦争が起きませんように。
「ありがとう」は?
【トランプ氏】我々がどう感じるか言われる筋合いはない。我々は問題を解決しようとしているのだ。あなたは我々に指図する立場にない。あなたは今、非常に悪い状況にある。切ることができるカード(切り札)を持っていない。
【ゼレンスキー氏】私はカードで遊んでいるわけではない。大統領、私はとても真剣だ。私は戦時下の大統領だ。
【トランプ氏】あなたはカードで遊んでいるのだ。数百万人の命と第3次世界大戦(が起きる可能性)を賭けてギャンブルをしている。第3次世界大戦を賭けたギャンブルだ。そしてあなたがやっていることは、米国に対して非常に失礼だ。
【ゼレンスキー氏】私は米国に敬意を払っている。
【バンス氏】あなたは一度でも「ありがとう」と言ったか。
【ゼレンスキー氏】何度も。
【バンス氏】違う。この会談で言ったか。
【ゼレンスキー氏】今日も言った。今日も言った。
【バンス氏】あなたは昨秋、ペンシルベニア州(のバイデン氏の出身地)に行き、選挙を支援した。あなたの国を救おうとしている米国の大統領に感謝の言葉を述べたらどうだ。
【ゼレンスキー氏】お願いだ。そんな大きな声で……。
【トランプ氏】彼は大きな声で話してなどいない。あなたの国は大きな問題に直面している。
【ゼレンスキー氏】答えてもよいか。
【トランプ氏】だめだ。もうあなたは十分話をした。あなたの国は大きな問題を抱えている。
【ゼレンスキー氏】分かっている。分かっている。
【トランプ氏】あなたはこの戦いに勝てていないが、私たちのおかげで困難な状況から抜け出す本当に良い機会を得られている。
【ゼレンスキー氏】大統領、我々はウクライナにとどまり、開戦当初から強くあり続けている。(米国の支援にも)感謝している。「ありがとう」とこの政権にも伝えている。
【トランプ氏】米国は愚かな(バイデン)大統領の下で、ウクライナに3500億ドルを提供した。
【ゼレンスキー氏】(バイデン氏を大統領に選ぶ)投票をしたのは米国民だ。
【トランプ氏】我々は軍事装備品を提供した。あなたと国民は勇敢だが、我々の軍事装備品が必要だった。なければ、この戦争は2週間で終わっていただろう。
【バンス氏】「ありがとう」と言え。
【ゼレンスキー氏】何度も言っている。「ありがとう」と、米国の人たちに。
【バンス氏】意見に相違があることを認め、メディアの前で争うのではなく、互いに言い合おう。我々はあなたが間違えていると分かっている。
【トランプ氏】とはいえ、米国の人々が何が起きているのかを見るのはいいことだ。重要なことだからこそ、長々とやっている。あなたは感謝すべきだ。カードもなく、国民が死んでいき、兵士も不足している。
カードはない
【ゼレンスキー氏】やめてほしい。大統領。
【トランプ氏】それなのに、あなたは我々に対して「停戦は求めていない。あれがやりたい、これがほしい」と言ってきている。いいか、停戦できるなら、今すぐそうするべきだ。銃弾が飛び交うのは止まり、ウクライナの人々が殺されることもなくなる。
【ゼレンスキー氏】もちろん戦争を止めたい。しかし、「(安全の)保証」とともにと言っている。ウクライナの人たちが停戦についてどう考えているか聞いてほしい。
【トランプ氏】それは私ではなく、頭の良くないバイデンという名の男(がやるべき仕事)だった。
【ゼレンスキー氏】米国の大統領だった人物だ。
【トランプ氏】(ウクライナに対する武器供与に消極的だった)オバマは(ベッドの)シーツしか与えなかったが、私は(対戦車ミサイル)「ジャベリン」を与えた。もっと我々に感謝すべきだ。米国がいなければ、あなたにカードは一切ない。態度を変えてもらわないといけない。
【記者】ロシアが停戦合意や和平協議に背いたらどうするのか。
【トランプ氏】あなたは今、頭上から爆弾が降ってきたらどうする。合意を破られたらどうするかなんてわからない。バイデンはプーチンを尊敬しなかったため合意を破られた。オバマはプーチンに尊敬されていなかった。私は尊敬されている。
言わせてもらうが、プーチンと私は大変な目にあった。(16年大統領選でトランプ氏の陣営がロシア政府と共謀したとされるロシア疑惑で)民主党による魔女狩りにあった。
プーチンは、取引を望んでいる。私はあなたがタフな男になれるよう力を与えてきたが、米国なしでそうなれるとは思わない。あなたが取引をするか、我々が手を引くかのどちらかだ。我々が手を引けば、ウクライナは戦い抜かなければならない。きれい事では済まないだろう。
我々が合意に署名できれば、あなたたちははるかに有利な立場になる。しかし、あなたはまったく感謝の気持ちを示していない。それは良いことではない。
(記者団に対し)もう十分見ただろう。素晴らしいテレビ(ショー)だった。