校長からの「口止め」 証言できない娘 学校は性被害を隠蔽したのか
毎日新聞 2025/6/9 11:00(最終更新 6/9 11:00) 有料記事 2205文字
「学校や町教委は体質を改めてほしい」と訴える母親=群馬県内で2025年4月23日午後3時54分、湯浅聖一撮影
「口外しないですよね」。校長の言葉に母親は耳を疑った。
群馬県邑楽(おうら)郡の町立中学校で1月に女子生徒にわいせつな行為をしたとして、学習支援員だった男性(69)が逮捕された。
学校や町の教育委員会による隠蔽(いんぺい)ともとれる対応に、上位組織の県教委が動き出した。
母親は疑問を投げかける。「学校は子どもを守る場所ではないのですか」
<主な内容> ・「見逃し」から被害拡大 ・「かわいらしい」「勘違い」
・フジテレビと重なる教育委員会
「受験期に騒がれても困る」
きっかけは目撃情報だった。
1月22日、「準備室」と呼ばれる校内の小部屋で、学習支援員の男性が生徒と二人きりでいるのを教員が見つけた。
「何もしていない」
学校の聴取に男性はわいせつ行為を否定した。
ただ、生徒は被害を申告し、学校は母親に連絡した。
「受験期に騒がれても困る」「マスコミはこういう話が好きじゃないですか」
面会した校長は母親に「口止め」ともとれる依頼をしてきた。
校長はかつて生徒の兄の学級担任を務め、信頼できる人物だと思っていた。それだけに母親は二重のショックを受けた。
「証言できない」を利用か
生徒は過去の心理的な要因などで言葉が出なくなる「緘黙(かんもく)症」という病気を患っていた。
男性は教員を定年退職後、学習支援員として再任用された。生徒への授業は筆談でのやり取りが中心だった。
学校は町教委に報告したものの、両者とも警察には通報しなかった。
「対応を協議する」「事実確認に時間を要する」との理由だった。
「証言ができない娘の…