トランプ関税にインド輸出業者が悲鳴、政府支援の早急な実施を訴え

トランプ大統領が導入した50%の関税に直面したインドの輸出業者は、政府支援なしには生き残れないと悲鳴を上げている。

  トランプ政権は米東部時間27日、アジアで最も高い50%の関税をインドに対して発動した。関税率は従来の25%から2倍となり、米国市場でインド製品の競争力は失われた。インドの業界団体は低利融資や賃金の補助、優遇税制など打撃を和らげるための措置の実施を政府に働き掛けている。

  支援がなければ、生産は止まり、労働者は解雇され、インドがようやく築き上げた市場シェアを競合に奪われるリスクがあると業界団体は訴えている。

  インド輸出促進協議会(FIEO)の会長、S・C・ラルハン氏は「米国向け輸出が100%の企業では、大規模な人員削減がすでに発生している」と述べ、政府に早急な支援を求めた。

  米国はインドにとって最大の輸出先だ。2024年の米国向けの財の輸出額は874億ドル(約12兆9000億円)相当に上り、25年3月までの1年で米国向けの財の輸出は全体のおよそ5分の1を占めた。

  買い手は既に、関税率が20%前後のバングラデシュやベトナム、カンボジアに注文を移しつつあると、インドの革靴メーカー、ファリダ・シューズでマネジングディレクターを務めるイスラル・アフメド氏は述べた。米国向けの靴の輸出は、今年で最大90%落ち込む恐れもあると同氏は語った。

  コスト抑制に努める米国企業にとって、インドが新たに被った価格面の不利はあまりに大きい。「50%の関税では、顧客にとってはもはや商売が成り立たない」とアフメド氏は述べ、インドの輸出業者は既に取引相手から、東南アジアの別のサプライヤーに製品使用を引き継ぐよう要請を受けたと明らかにした。

  インドのアパレル輸出振興協議会のスディール・セクリ氏によると、アパレルメーカーはおよそ約30億ドルの打撃を被るとみられている。この対応でインド企業は、バングラデシュやカンボジアなど外国拠点での生産を引き上げ、高関税を避けつつ顧客をつなぎとめておくため、外国に業務をシフトさせている。

  トランプ氏の関税は米国向けに輸出されるインド製品の55%以上が対象になり、せんいや宝飾品など労働集約的な産業への打撃がとりわけ大きい。

  電子機器や医薬品などの主要輸出品目は除外され、アップルによるインド工場への大型投資は今のところ影響を受けていない。

原題:US Tariffs Rattle Indian Exporters, Fueling Calls for Support(抜粋)

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