日銀審議委員に三菱商出身の増氏、中村委員の後任 政府提示

 4月10日、政府は日銀審議委員に増一行・日本公認会計士協会理事(元三菱商事常務)を充てる国会同意人事案を提示した。写真は2023年1月、日銀本店で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)

[東京 10日 ロイター] - 政府は10日、日銀の新たな審議委員に、元三菱商事(8058.T), opens new tab常務で日本公認会計士協会理事の増一行氏を充てる国会同意人事案を提示した。6月30日に任期を終える中村豊明審議委員の後任となる。
増氏は、三菱商事の元代表取締役常務執行役員コーポレート担当役員(CFO)。日立製作所(6501.T), opens new tab出身の中村委員に続き、産業枠での候補者となる。任期は5年。衆参両院の本会議での可決、承認を経て就任する。

2020年7月に審議委員に就任した中村氏は、累次の利上げ局面で反対票を投じてきた「ハト派」とされる。国会での承認を経て、増氏が経済・物価見通しや中立金利への距離を巡り、どのような見解を示すかが今後、焦点となる。

今回の人事案について、市場では「(前任の)製造業出身の中村委員はハト派色が強く、企業収益が盤石になったうえで賃上げが行われることを重視していた。相対的にハト派感が弱まりそうだ」(大和証券の末広徹チーフエコノミスト)との声が出ている。

SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストも「製造業枠だったのが商社出身の候補者となり、ハト派色が薄れるのか注目される」と指摘する。

日銀は、中立金利までの緩やかな利上げを目指す姿勢を崩していない。

増氏が財務畑の知見を生かし「利上げを受けた長期金利の上昇などで含み損が膨らむ日銀の財務状況に、どのようなスタンスを示すかも注目される」(SMBC日興の宮前氏)との見方も出ている。

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