ベッセント米財務長官のドルや国債発行巡る発言、市場に安心感提供
ベッセント米財務長官は6日、「強いドル」政策への支持を表明するとともに、米国債を巡り中長期債の発行プランを修正する計画はないと述べた。トランプ政権が他の分野で急速に現状変更を進める中で、金融市場に対する慎重なアプローチを示した。
トランプ大統領は昨年の選挙期間中、米国産品の国際競争力を損なうとしてドル高に懸念を示していた。また、ベッセント氏ら多くの共和党員はイエレン前長官について、11月の大統領選・議会前に長期の借り入れコストを抑制して景気を支えるため、中長期債の発行を人為的に抑えていると批判していた。
しかし、ベッセント氏は6日のブルームバーグとのインタビューで、従来の通貨政策や国債発行計画を直ちに転換する方針がないことを示唆した。これらはいずれも金融市場が注視していた分野であり、財務長官として平静ムードの発信に努めた形だ。
ベッセント氏は国債発行のペースについて「良い軌道」にあり、「前政権から引き継いだ数少ない良いサプライズの一つだ」と発言。「大統領の施策がうまく機能していることが明確になれば、インフレなき大幅成長を目にし、政策をどうすべきか見極めることになるだろうが、予見可能な将来について発行の変更は見込まれない」と語った。
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このほか、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長について、「彼は正しいことをすると確信しており、批判はしない」と語った。「私は金融政策について先を見越してコメントするつもりはない」としている。
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ベッセント氏の発言後、ドルと米国債相場はほぼ変わらずで推移。10年債利回りは小幅上昇して取引を終えた。
トランプ氏の当選を受けてドルは他の主要通貨に対し急上昇していた。減税や関税賦課など同氏の政策がインフレ圧力を高め、金利が高止まりするとの観測を背景にしたものだ。
数少ない継続性
ドル高は米国の輸出競争力をそぎ、米企業の外国での収益を圧縮する恐れがあるが、ベッセント氏はドル安を目指す計画はないと言明。その代わりに、他の国々が自国通貨を低め誘導して競争力を高めようとしていないか監視する考えを示した。
「強いドル政策はトランプ大統領によって完全に維持されている」と述べた上で、「われわれはドルが強いことを望んでいる。われわれが望まないのは他の国が自国の通貨を弱くすることや、貿易を操作することだ」と語った。
ドル安支持や中長期債の発行規模拡大といった方針が示されれば、金融市場に大きな動揺が広がったと想定されるが、ベッセント氏のインタビューでの発言は、バイデン前政権の政策を覆し、ワシントンを塗り替えようとする現政権にあって、数少ない継続性を意味する。
米財務省は5日、中長期債の発行規模を「少なくとも向こう数四半期」据え置くとするガイダンスを維持した。ベッセント氏の長官就任後初のこの発表も中長期債の地合いを強めていた。
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ベッセント氏はまた、連邦債務上限問題を巡って米国債の大口保有者と協議し、その考えを知ろうとしていると説明。市場参加者ら外部のアドバイザーで構成される財務省借入諮問委員会(TBAC)の役割をシンクタンク的なものから、市場のフィードバックに一段と重点を置いたものに変えたい意向も明らかにした。
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原題:Bessent Calms Markets by Leaving US Dollar, Debt Plans Intact、Bessent Says Treasury Talking With Big Bondholders on Debt Limit、Bessent Wants Recalibration of US Treasury Borrowing Committee、Bessent Projects Normalcy While ‘Completely Aligned’ With Musk(抜粋)