7000万人の命を救った支援と成果:グローバルファンド、最新の成果報告書を発表
2025年9月10日 ― 世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド、事務局 ジュネーブ)は、エイズ・結核・マラリアの三大感染症対策に関する最新の成果をまとめた2025年度版成果報告書を発表しました。
グローバルファンドを支援するグローバルファンド日本委員会(公益財団法人 日本国際交流 センター内、東京)より、同成果報告書の概要について、グローバルファンドによるプレスリリースとともに、以下の通り補足解説をいたします。
|これまでの成果を数字でみる| *2002年設立から2024年末まで
7000万人:グローバルファンドのパートナーシップの支援で救われた命の数
63%減少:エイズ・結核・マラリアによる合計死亡率
82%減少:エイズ関連の死亡率
57%減少:結核による死亡率
51%減少:マラリアによる死亡率
*いずれもグローバルファンド支援対象国での統計
この成果は、低・中所得国の政府、地域コミュニティ、民間セクター、国際機関が協働するパートナーシップの力を示すものであり、公衆衛生上の脅威である三大感染症の収束に向けて着実に前進している証です。
| 2024年の成果ハイライト |
HIV/エイズ:
-HIV陽性者2560万人が抗レトロウイルス治療を受け、4660万件のHIV検査を実施
-PrEPなど効果的な予防策の利用も急拡大
結核:
-740万人が治療を受け、薬剤耐性結核患者12万人が治療を開始
-AI診断など新しい技術の導入が進展
マラリア:
-3億6000万件の検査、1億6200万張の蚊帳配布、1780万人の妊婦に予防治療を提供
-WHOが東ティモールとスリナムをマラリアフリーに認定
保健システム強化:
-2024年は過去最高の27億米ドルを投資
-疾病サーベイランス、診断ネットワーク、医療従事者研修などを強化し、パンデミック対策の基盤を拡充
グローバルファンド第8次増資を控える2025年、世界の三大感染症対策にとって決定的かつ節目となる年です。十分な資金が確保されれば、2027~2029年の3年間でさらに2300万人の命を救い、死亡率を2023年比で64%削減できる見込みです。
しかし同時に、国際的な対外援助資金の減少、紛争や気候変動、経済危機など複合的な要因により、これまで積み上げてきた成果が危機に晒され、数百万の命が再び危険に陥る恐れがあると報告書では警鐘を鳴らしています。
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