自分の「寿命」が"正確に"推測できる!? 90%の精度、死因の予測も。新ツールに注目集まる
ヘルス・オクト・ツール(Health Octo Tool)は、健康診断や定期的な臨床試験から得たいくつかの指標を用いた、新しい健康評価ツール。学術誌『Nature Communications』に掲載された科学論文によると、このツールを活用することで、生物学的年齢を判定し、障がいや死亡リスクを予測することができるという。 このツールは「健康エントロピー」と呼ばれる老化の概念に基づいている。健康エントロピーとは、時間とともに体に蓄積される分子的・細胞的ダメージの大きさを示し、そのダメージが臓器や身体システムに与える影響を評価するものだ。 ツールの作成にあたっては、研究者たちはボルチモア縦断加齢研究(Baltimore Longitudinal Study on Aging)のデータに加え、参加者の病歴や健康診断、その他の医学的データを分析。また、4万5000人以上の成人を対象とした2件の大規模研究のデータも活用した。 科学者たちは、疾病の影響を受けた臓器の数(循環器系・呼吸器系・中枢神経系など)を基に体内臓器疾病数を算出。がんや脳卒中の既往歴も考慮し、1点〜14点でスコア化した。 さらに、歩行速度(高齢者の機能を測る一般的な尺度)に与える影響を分析するため、「スピード・ボディ・クロック」と「スピード・ボディ年齢」を導入。また、認知障害や身体障害のリスクを分析する「障害体時計(Disability Body Clock)」と「障害体年齢(Disability Body Age)」も追加した。 これらの指標はすべて病歴や診断結果から導き出され、その人の老化プロセスを計算するのに役立つ。研究者たちは、ヘルス・オクト・ツールはフレイルティ・インデックスなど既存の主要検査よりも優れており、障害や死亡の発生確率を90%以上の精度で予測できると述べている。 生物学的年齢は単なる一過性のトレンド的な話題ではなく、人生を長い目で見て、健康改善のきっかけにもなり得る。「たとえば、生物学的年齢が実年齢より高いと分かれば、食生活やライフスタイルを見直す警鐘となる」とカトラー医師は語る。