「ワシがフロントガラスにネコを落とした」、危機一髪の運転手が通報 米

ネコの死骸が衝突してフロントガラスが破壊された車両=米ノースカロライナ州/N. C. State Highway Patrol Public Information Office/AP

(CNN) 米ノースカロライナ州西部で、ハクトウワシが落としたネコが幹線道路を走行中の車に衝突してフロントガラスを突き破る出来事があった。

銀行に向けて車を走らせていたメリッサ・シュラーブさん(28)にとっては何の変哲もない朝だった。ところが突然、空からネコが落ちてきてフロントガラスを突き抜けた。

にわかには信じがたいが、実際の出来事だった。

CNN提携局WLOSによると、シュラーブさんはグレート・スモーキー山脈国立公園沿いの道路を走行中、頭上を舞うハクトウワシを見て感激していた。威厳あるワシの姿は予想外の光景だったが、突然、状況は一変した。

「普段見ないので『わあ、すごい』と思った。そして、ワシが何かをつかんでいるのが見えて、それがネコだと分かった。その瞬間、ワシがかろうじてつかんでいたネコがそのままフロントガラスに落ちてきた。まるで爆弾が爆発したかのような音がした」(シュラーブさん)

ネコは車に落下した時点ですでに死んでいたという。ハクトウワシが意図的に離したのか、つかんでいたものを落としただけなのかは分からないが、その衝撃は壊滅的だった。

シュラーブさんは「助手席にネコがいるのが見えた。内臓が散らばっていて、ガラスが全体に飛び散っていた」と振り返った。後続車の運転手がすぐに停車し、一部始終を見ていたと話しながら車両を道路から移動させるのを手伝ってくれたという。

血まみれで震えたまま、シュラーブさんは警察に通報。まるで映画のような報告をした。

通報記録によれば、シュラーブさんは「信じてもらえないかもしれないけれど、ハクトウワシがネコを落として、フロントガラスを突き破った。フロントガラスは完全に粉々になった」と語った。

通報を受けた係官も落ち着いて対応した。AP通信が入手した通話記録の中で、係官は「はい、本当に信じます、正直言って。もっとクレージーな通報を聞いたこともあります」と答えていた。

ノースカロライナ州野生生物資源委員会で西部野生生物多様性プログラムを監督しているケンドリック・ウィークス氏は、ネコについて、路上で死んでいた個体をハクトウワシが拾った可能性があると述べた。

ウィークス氏は「ハクトウワシはネコほどの大きさの動物も運べる。生きているネコを捕まえるのは、死んだネコを捕まえるよりもはるかに難しい。ハクトウワシは通常、口に合わないものは捕食しない。死骸をあさることはよくある」と述べた。

猛禽(もうきん)類が獲物を落としたり逃がしたりする理由はさまざまだ。しっかりつかめていなかったり、獲物が激しく暴れたりするとけがを避けるために離すことがあるという。また、他の鳥に空中で邪魔されたり、重すぎて運び切れなかったりする場合もある。

ノースカロライナ州野生生物資源委員会によると、ハクトウワシは米国で保護の対象となっており、ノースカロライナ州を含む大陸の大部分に生息する。州内では生息数が回復傾向にあり、200組以上のつがいが確認されている。

シュラーブさんは今も動揺しているが、かわいそうなネコが死んだだけで、けが人がでなかったことに安堵(あんど)していると語った。「ほんの少しずれていたら私の顔に当たっていたかもしれない。まったく別の結果になっていたかもしれない。生きていなかったかもしれないと思うと、本当に神様に感謝する」

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