セーラームーンみたいな深海魚が発見される。ツインテールの正体に…ゾッ

Image: Schmidt Ocean Institute

魚がネギしょってるのかと思った…。

最新の深海ファッションがこちらになります。寄生性のカイアシ類をツインテールに見立てて着こなす深海魚が発見されました…って気の毒すぎる。

深海で撮影された不思議な光景とその意義

シュミット海洋研究所とウッズホール海洋学研究所に所属する国際的な科学者チームが、南米と南極大陸の沖合に広がる大西洋に位置するサウスサンドウィッチ諸島への最新探査で、この奇妙な生きものに遭遇しちゃったそうです。

水深約489mで撮影された映像には、チューブのような形をした甲殻類が魚の背中にしっかりくっついている、ちょっとゾッとする光景が映っていました。気持ち悪いと思うかもしれませんが、こうした寄生生物の存在こそ、海の生態系がちゃんと機能している証拠なんです。

底生生態学者であるLauren Dykman氏は、以前にウッズホール海洋学研究所の記事で次のように述べています。

「多様性に富み、機能的で健全な生態系には、より多様な寄生生物が豊富に存在します」

Image: Gizmodo / YouTube

遠征チームは、深海の生物多様性をカタログ化し、海底地滑りや熱水活動のような地質災害を特定することに重点を置いたミッション中に、この寄生生物に取りつかれた魚を見つけたといいます。

シュミット海洋研究所のコメントによると、寄生生物には、生態系の個体数抑制食物網の調整海洋生物多様性の向上といった役割があるのだそうです。

南極環流が生物の境界線をつくり独自の進化を促す

研究者たちは、もっと大きな目標にも取り組んでいます。研究チームは、「南極環流」と呼ばれる南極大陸を取り囲む海流が、ソコダラ科の魚とカイアシ類などが住む生息環境に、どのように関わっているのかを調査中とのこと。

南極環流は、水の中に「見えない壁」のようなものをつくって海のなかに温度差を生み、動物たちの住む場所や、移動、繁殖にも影響を与えているそうです。

この海流が海洋生物の分布を隔てる境界線として機能し、その両側の場所でそれぞれ独自の適応を促しているのではないかと考えられています。

まだまだ謎が多い深海の隔離された場所に関しては、ぬるぬるしたカイアシ類や、くねくね動く魚などのすべての生物が、生物多様性が水中の境界線を越えてどのように変化するかを知る手がかりになるといいます。

深海の生態系は地球の現在・過去・未来を語る

サウスサンドウィッチ諸島での調査は、遠く離れた場所にある生態系を深く理解するために行なわれている多くの研究のひとつです。そういった場所には、寄生生物のような小さい生物も含めて、思いがけない発見がたくさんあって、地球の過去や、現在進行形の変化、そして未来の姿を理解するために重要なのだそう。

この魚の頭についている寄生生物はただの飾りではなくて、深海の特別な環境が育む「繁栄する生態系」の指標といえそうです。

それでもやっぱり寄生されたくないと思うの…。

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