慢性蕁麻疹にビタミンD補充が有望
慢性蕁麻疹、特に慢性特発性蕁麻疹は6週間以上持続する膨疹や血管性浮腫を特徴とし、患者のQOLを大きく損なう疾患である。近年、ビタミンDの免疫調節作用に注目が集まっており、欠乏が慢性蕁麻疹の発症や増悪に関与する可能性が指摘されてきた。アフガニスタン・Ibn E Seena HospitalのAyesha Siddiqui氏らは、慢性蕁麻疹とビタミンDの関連を検証する目的でシステマチックレビューを実施。ビタミンD補充は、特に欠乏が確認された慢性蕁麻疹患者において安全かつ低コストな補助療法になりうることが示唆されたとEur J Med Res(2025; 30: 691)に報告した。(関連記事「慢性特発性蕁麻疹に効果が高い薬剤・用量は?」)
慢性蕁麻疹患者ではビタミンD欠乏例が多い
慢性蕁麻疹は世界人口の0.5〜1%に見られ、痒みや腫脹、睡眠障害を伴う。ビタミンDは免疫調節や炎症抑制に関与し、欠乏により喘息やアトピー性皮膚炎の活動性が高まるとされる。観察研究でも、慢性蕁麻疹患者は健常者より血清25(OH)Dが低値であることが報告されている。こうした背景を踏まえ、Siddiqui氏らは、慢性蕁麻疹治療におけるビタミンD補充の有用性をシステマチックレビューで検証した。
同氏らは、PubMed、Scopus、Web of Science、Google Scholarを用いて、慢性蕁麻疹患者における血清ビタミンD濃度またはビタミンD補充効果を検討したランダム化比較試験(RCT)、観察研究、症例対照研究の文献を検索。最終的に11件・1,491例(慢性蕁麻疹患者910例、健常対照581例)を解析対象とした。
抗ヒスタミン薬やステロイドとの併用で効果増強
解析の結果、6件の介入研究においてビタミンD補充が慢性蕁麻疹の症状改善に寄与する傾向が示された。高用量ビタミンD₃(4,000IU/日または6万IU/週)を投与した研究では、低用量やプラセボ群に比べて蕁麻疹活動性スコアの低下、症状緩和、QOL改善が認められた。抗ヒスタミン薬やステロイドとの併用により、症状の収束が促進されたとする報告もあった。一方、一部の研究では有意な関連が認められず、投与量やデザインの異質性が結果に影響した可能性が考えられた。
以上から、Siddiqui氏らは「ビタミンD補充が慢性蕁麻疹治療の補助療法として有望であることが示唆された」と結論。その上で「ビタミンDは安価で入手しやすく、安全性も高いため、欠乏例を中心に導入できる可能性が高い」と付言している。一方で「因果関係や至適投与量、長期的有効性については未確立であり、臨床実装には大規模かつ質の高いRCTが必要である」と述べている。
(編集部)