ヤゲオ、芝浦電子買収なら最先端技術は日本国内にとどめる方針-会長

Debby Wu

  • ヤゲオの陳泰銘会長が台北での記者会見で明らかにした
  • 今月16日の週にヤゲオ幹部が東京で芝浦電子経営陣と面談する予定
ヤゲオの陳泰銘会長 Photographer: Debby Wu/Bloomberg

芝浦電子に対する株式公開買い付け(TOB)を実施している台湾の電子部品大手ヤゲオは7日、買収が実現した場合は芝浦電子の最先端技術を日本国内にとどめる方針を示した。

  ヤゲオの創業者で会長の陳泰銘氏が台北での記者会見で明らかにした。日本当局が、芝浦電子の株主利益の最大化と最先端の人工知能(AI)技術を国内にとどめることとのバランスを模索する中で、こうした方針が示された。

  芝浦電子が製造する高精度サーミスタは電子機器の過熱防止に不可欠な部品であり、特に多数の高性能サーバーを稼働させるAI向けデータセンターで重要な役割を果たしている。

  陳氏は「日本が非友好的と見なす国に芝浦の技術が移転するのは、ヤゲオにとっても望ましくない」とし、「技術流出を防ぐため、一段と厳格な管理を導入するつもりだ」と語った。

  ヤゲオは芝浦電子を巡りミネベアミツミと買収合戦を展開中で、ミネベアのTOB価格1株5500円に対し、ヤゲオは同6200円を提示している。ヤゲオのTOBは今月19日に終了する予定だが、陳氏は延長を検討するかどうか明言を避けた。ミネベアミツミは任天堂の部品サプライヤー。

  陳氏によると、ヤゲオ幹部は16日の週に芝浦電子の経営陣と東京で面談し、買収提案について協議する予定。ヤゲオは日本の経済産業省と十分な意思疎通が取れているという。

  芝浦電子の広報担当者はコメントを控えた。経産省に業務時間外にコメントを求めたが返答はなかった。

  ヤゲオによる芝浦電子への買収提案は、外国企業による買収に慎重な日本の一部産業界で反発を招いている。日本政府内でも見解が分かれている。

  日本の当局者は株式の持ち合い解消を促すことで、透明性向上や株主還元の拡充に努めている。しかし、この動きと円安が相まって、日本企業に対して買収が仕掛けやすくなっている。

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原題:Taiwan’s Yageo Plans to Keep Shibaura’s AI Technology in Japan(抜粋)

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