中国の習主席、「アジアの家族」に結束呼びかけ-トランプ政権に対抗
- 共に地政学的・ブロック対立の潮流と闘う-習氏がマレーシアで発言
- 東南アジア、米中のはざまで外交バランスを保つ難しいかじ取り必要
東南アジア歴訪中の習近平・中国国家主席が「アジアの家族」という概念を提唱し、地域の結束を呼びかけている。トランプ米政権が対中貿易を制限するよう貿易相手国に圧力をかける動きに対抗する狙いがあるとみられる。
習氏は16日、マレーシアでの公式夕食会で演説し、連帯の重要性を強調。「中国とマレーシアは域内各国と共に地政学的・ブロック対立の潮流と闘う」と述べ、「共にアジアの家族の明るい未来を守り抜く」と表明した。
両国は17日の共同声明で、産業とサプライチェーン、データ、人材分野での協力強化で合意したとし、経済貿易協力の5カ年計画実施と「ハイレベルの戦略的マレーシア・中国共同体」の構築を目指す方針を示した。
中国共産党の総書記でもある習氏はプノンペン到着に先立ちカンボジアのメディアを通じ同日発表した論評で、単独行動主義との闘いをあらためて呼びかけ、暗に米国を批判。
「共に覇権主義と力による外交に立ち向かわなければならない」とし、中国とカンボジアは「内政に干渉し、分裂をあおる外部勢力のいかなる試みにも断固反対すべきだ」と主張した。
米中の貿易戦争は激化。ブルームバーグ・ニュースは関係者の話として、トランプ政権が貿易相手国との関税交渉を利用し、中国への圧力を強める準備をしていると報じた。
習氏は今年最初の外遊先として東南アジアを選んだ。トランプ大統領が求めるディール(取引)を中国に不利な条件で進めないよう訪問先の各国をけん制する狙いがある。東南アジア各国は米中という世界1、2位の経済大国のはざまで微妙な外交バランスを保つ難しいかじ取りを迫られている。
習氏の東南アジア3カ国歴訪は14日のベトナム入りから始まった。ベトナム指導部は習氏を歓迎し、経済連携を深化させる45件の協定に調印。両国は「単独行動主義」と地域の平和と安定を脅かすいかなる行動にも反対するとし、これまで用いてきた表現とほぼ同じ内容の共同声明を発表した。
原題:Xi Urges ‘Asian Family’ Unity as Trump Pressures Trade Partners (抜粋)