J-REITが「強い買い推奨」の理由。読者質問に回答(窪田真之)
<視聴者からのコメント&質問> いつも分かりやすい情報をありがとうございます。ニッセイJリートインデックスファンドをお持ちとのことですが、なぜ王道のeMAXIS Slim国内リートインデックスファンドを選ばれなかったのでしょうか? 条件的には全く同じで、後者の方が信託報酬が低い分、お得だと思うのですが。何か決め手となる違いがあれば、教えていただけますか?
<窪田からの回答> はい、eMAXIS Slim国内リートインデックスファンドも、とても良いと思います。
二つの投資信託を比較すると表の通りです(購入を検討する場合は必ず目論見書を閲覧して、詳細を確認してください)。
出所:各種資料より筆者作成
私は、自分が投資しているファンドとして「ニッセイJリートインデックスファンド」を紹介しました。私は10年以上前から、Jリートのインデックスファンドを売買していて、当初、「eMAXIS Slim国内リートインデックス」は無かったので、「ニッセイJリート」で売買していました。
念のため、私はレポートで「買い推奨ではありません」と注記しています。特定のファンドを買い推奨する時、目論見書を提示することが必要です。私は、読者のみなさま全てに、目論見書を提示することができないので、「買い推奨ではありません」と注記しています。
私は、東証不動産投資信託(REIT)の平均分配金利回りが4%を超えた時に、Jリートへの投資を推奨し、5%を超えた時には強い買い推奨しています。過去のレポートで、「東証REIT指数インデックスファンドに投資するのも良いと思います」と書いてきました。ただし、それだけでは、実際に何を買ったら良いのか分からない人が多いことが分かりました。
具体的なファンド名がないと何をして良いか分からない人が多いようです。でも、個別ファンドを買い推奨する時は目論見書の提示が必要です。
そこで、苦肉の策として、私が投資しているファンドを参考までにお知らせして「買い推奨ではありません」と注記しています。「全てのファンドを比較してこれが良いと言っているわけではありません」とも書いています。分かりにくい表現だったかもしれません。
結論を言うと、「ニッセイJリートインデックスファンド」・「eMAXIS Slim国内リートインデックス」どちらも良いファンドだと思っています(買い推奨ではありません。購入する際は、必ず目論見書を閲覧してください)。
つい先日、私は「eMAXIS Slim国内リートインデックス」にも投資しました。今後は、両ファンドを私が投資しているファンドとして紹介するようにします。なお、他にも良いファンドはあります。全てを比較しているわけではありません。
私が、長期の資産形成を目指す際に避けた方が良いと思うのは、「毎月分配型」のJ-REITインデックスファンドです。分配は無い方が、複利ベースで、長期の投資成果が高まるので、私は、なるべく分配が少ないファンドを選んでいます。
毎月分配型のファンドには、利益を上回る分配金を「元本払戻金」として出し続けているものがあります。そうなると、当初1万円からスタートした基準価額が、8,000円とか6,000円とかそれ以下に低下することもあります。
10年国債との利回りスプレッドが低下していることが気になる
<視聴者からのコメント&質問> 10年国債利回りと比較したスプレッドで見ると国内の不動産投資信託(J-REIT)はまだ下落余地があるように思われますが、この点はどうお考えでしょうか?
<窪田からの回答> 10月9日現在、J-REITの平均分配金利回りは5.65%、長期金利(10年国債利回り)は3.02%です。従って、スプレッド(利回りの差)は、2.63%です。とても魅力的なスプレッドで、私はJ-REITの投資価値は高いと思います。
質問者さんは、スプレッドが「過去と比較して低い」ことを気にしています。
まず、過去のデータをご覧ください。
<J-REIT分配金利回り(加重平均)と長期金利(10年国債利回り)の推移:2010年1月末~2026年10月(9日)>
出所:QUICKほか各種資料より楽天証券経済研究所作成
<J-REIT利回りと長期金利のスプレッド>
出所:QUICKほか各種資料より楽天証券経済研究所作成
質問者さんが心配しているのは、スプレッド(10年国債利回りとの差)が低下していることですね。
過去のスプレッドを見る時に注意すべきことがあります。長期金利が人為的に低く抑えられていた時は、見かけ上のスプレッドが高くても、J-REITの利回り魅力が高いといえません。
特に、長期金利がゼロに抑えられていた時は要注意です。日本銀行が力ずくで利回りゼロの10年国債を買い続けたことでゼロ金利が実現しました。この時、長期国債の最終的な買い手は日銀しかいませんでした。つまり「持続可能な金利」ではありませんでした。その持続可能でない長期金利0%とのスプレッドが3~4%あってもJ-REITの魅力が高いとはいえません。
長期投資を考える時、重視すべきはJ-REITの絶対利回りです。私は、平均利回りが4%を超えている時にJ-REITは割安(投資価値が高い)、4%を下回っている時は割高(投資価値が低い)と判断しています。
J-REIT利回りが3~4%の時、長期金利が0%でスプレッドが3~4%あっても魅力的とは思いません。利回りが5.65%・長期金利3.02%でスプレッドが2.63%の今の方が、魅力的と思います。
なお、質問者さんは、グローバル投資家が不動産投資の魅力を測る時、スプレッドを重視すると、聞いたことがあると思います。その通りです。現在2%を超えている日本のスプレッドは、グローバル比較で魅力的な水準です。従って、海外投資家は今、日本の不動産投資に前向きです。
NAV倍率が0.8倍まで下がった今、良い投資機会と思います
私が今、J-REITが魅力的だという、もう一つの根拠としてNAV倍率があります。今、J-REIT全体の平均で0.8倍です。例えるならば、時価で100億円の不動産を80億円で売っているような状態です。ここから、さらに大きく下がる可能性は低いと考えています。
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1984年、慶應義塾大学経済学部卒業。住友銀行、住銀バンカース投資顧問、大和住銀投信投資顧問を経て2014年より現職。日本株ファンドマネージャー歴25年、2000億円以上の大規模運用で好実績をあげたスペシャリスト。
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