突然コンビ揃って改名 真顔でふざけ続ける「しずる」から目が離せない
お笑いコンビ「しずる」が4月13日、改名を発表した。村上純は「純」に、そしてKAZMA(※Zはストローク付き表記、以下同じ)は再び本名の「池田一真」に戻すというのだ。
後者は、2022年1月に本名から「KAZMA」へと改名し、その名前が定着した矢先の再改名である。
まるで世間をおちょくっているかのようだ。
一度目の改名
そもそも、この最初の改名のときから様子がおかしかった。
まず発表方法があまりに独特。タレントの改名といえば、一大事。たいていはテレビ番組や大きなイベントなどで華々しく発表する。
だが、KAZMAは違った。
なんと山形ローカルの番組『極み鍋』(山形テレビ)の冒頭クレジットで、「池田一真改め“KAZMA”本邦初公開」とテロップだけで告知したのだ。しかも、この番組への出演はわずか3回目。特別な思い入れがあったわけでもなさそうだ。
そもそも、なぜ名字を取り去って「KAZMA」というアルファベット表記にしたのかも意味不明。しかも「Z」はストローク付きという特殊文字で、通常の文字変換では出てこない。
その件について訊かれると、こう答えている。
「俺もわかんないんだよね……。正直、そこまでこだわりないから、池田って呼んでくれてもいいし、(ストローク付きの)Zを使わなくてもいいし、カタカナでカズマでもいいし、もう呼びやすいやつで」
(※『スッキリ!』2022年1月21日)
いかにもこだわりがありそうな表記なのに、実際にはまったく意味がないというふざけっぷり。改名について「いつまで続けるのか?」と問われれば、「怒られるまで」と涼しい顔で答えていた。
今回の本名に戻す改名についても意図がわからないが、「本件に関しての取材等はお控えいただけますようご配慮いただけますと幸いです」と添えており、徹頭徹尾、人を食ったような態度が貫かれていて面白い。
結婚発表
こうした“変な発表”には、実は“前科”がある。
それが、自身の結婚発表だ。これまた人生の大事な出来事。芸人なら、自身のラジオや冠番組などで発表するのがセオリーだろう。
ところが彼は、ファミリーマートの店内放送「ファミよし“笑顔の宅配便”」という、誰も予想しなかったような媒体で発表した。たまたま店に居合わせた人しか聞けない放送で、彼は「超絶アガってんだけど」と興奮気味に報告したのだ(※「お笑いナタリー」2018年10月15日)。
またKAZMAといえば、語り草となっている“伝説のインタビュー”もある。
吉本興業の「闇営業」問題の渦中、フジテレビ『グッディ!』の直撃取材を受けた際、彼は茫然自失とした表情で、口を開けたまま数分間一言も発さなかったのだ。
「よく取材陣とかがいて、マスクして『すいません』って言って、言うことがあるのにそのまま行っちゃう人とかいるじゃないですか。言うことないのに止まってみたらどうなるんだろうって」
(※『勇者ああああ』2019年9月19日)
そんな“実験”だったと後に明かしている。
真顔でふざけきる、その姿勢は一貫している。そして今度は、コンビそろっての改名だ。
しずるのコント
「しずる」は、特異なコンビである。
コンビの2人ともがネタを書ける。それ自体は決して珍しいことではないが、たいていそういう場合、2人で話し合いながらネタを作っていったり、ネタの設定などは一方が考え、細かい部分をもう一方が作ったりしていくことが多い。
しかし、しずるの場合、ひとつひとつのコントを、それぞれ別々に作るのだ。
さらに驚くのは、単独ライブごとに、作・演出を交代している。
つまり、夏の単独ライブは池田一真(KAZMA)の作・演出、冬は村上純の作・演出と、しっかりクレジットまでして公演をおこなっている。
そんなコンビはほとんど例がないだろう。
そしてこのところ、再びしずるのコントが注目を集めている。
先月惜しまれつつ終了した『千鳥のクセスゴ!』(フジテレビ)では、雰囲気だけで中身がない“雰囲気映画”のパロディコントが好評を博していた。北乃きいとのコラボも話題になった。
そんな中、番組最終回直前の3時間SP(2月16日)で披露したネタ「とてつもない情報」は異色だった。
B'zの名曲『LOVE PHANTOM』に合わせたコントを披露し、スタジオは大爆笑。ゲストだった中島健人も「これスゴかったですねえ」と称賛し、見事その日のグランプリに輝いた。
『水曜日のダウンタウン』の演出・藤井健太郎らが絶賛し、SNS上でも大きな話題となった。
その少し前、2月1日放送の『ゴッドタン』(テレビ東京)「ネタギリッシュNIGHT」でも、しずるのコントは高い評価を受けていた。
「ちょうどいいエロさ」のネタで競うこの企画。KAZMAが作ったコントは、乱交が行われているマンションで、常連の男が初心者の男に「乱交に飲み込まれる前の“人間”であるうちに逃げろ」と促す会話劇だ。
これが「劇場でやったらスタンディングオベーション」「Netflix観てるみたい」「お前、天才だな!」と、おぎやはぎや劇団ひとりから絶賛された。
その結果、3月29日にはこのコントの“続編”として、「しずるの新ネタに入りたい!」という企画が放送され、おぎやはぎや劇団ひとりもネタに参加するという発展までした。
今、稀代のトリックスター「しずる」から目が離せない。