AIがハードウェアDIYの扉を開く。「自作たまごっち」ブーム到来?

image: agitix.ai

新種発見! どころか新種大爆発みたいになるぞ。

1996年、バンダイが発売した小さな卵型デバイス「たまごっち」が一世を風靡しました。翌97年には「何百万時間もの労働時間をバーチャルペット育成に費やさせた」という理由でイグノーベル経済学賞を受賞。今読んでもこの文章、めっちゃ皮肉効いてますね。

2025年時点で累計出荷数1億台を突破した、まさにレジェンド級のガジェット。もし、あの時代に同じものを作ろうとすれば、デザインチームや電子回路エンジニア、たくさんの開発期間も必要だったでしょう。

ところが2026年の今、「たまごっち的なものがDIYできたぜ!」と界隈で盛り上がっているんです。

AI見張るよ!たまごっち

きっかけは開発者のIdo Levi氏が作った「Claude Code Tamagotchi」というソフトウェアのプロジェクトでした。

「Claude Code」はAnthropicが提供するAIコーディングツールで、「このバグを直して」「この機能を追加して」と指示するだけで、AIが自律的にコードを書いたり修正したりしてくれるものです。

ただ困ったことに、このAIはときどき余計なことをしてしまう。「このファイルだけ直して」と言ったのに関係ないファイルまで書き換えたり、「データベースには触るな」と念を押したのに変更を加えようとしたり……。

そこでLevi氏が考えたのがAIを見張るペットです。作業画面の片隅にドット絵のペットキャラクターが常駐して、AIが指示通りに動いていればしっぽを振って喜び、指示から逸れ出すと顔が曇ってアラートを出してくれます。「データベースへの無断アクセス」のように明確なNGを検知したときは、AIの操作をその場でブロックする機能もあります。

つまり、たまごっちそのものというより、AIが暴走しないか見張る番人役をたまごっち的なキャラクターに担わせたプロジェクトです。

これだけでも面白いものですが、「ソフトウェアでこれができるなら、物理的なデバイスとして手元に置けたらもっと面白くない?」と考えた人が現れました。

手元でわかるよ!たまごっち

Marc Vermeeren氏が作った「Clawy」がまさにそれです。約20ドルの小型IoTデバイス「M5StickC Plus 2」にファームウェアを書き込むだけで、Claude Codeのセッション状況をリアルタイムで手元に表示してくれます。

Claudeがツールを実行するとClawyも動き出し、完了すると喜んでジャンプ。Claude Codeが許可を求めてきたときは、画面にコマンドと文脈をRPG風のスクロールテキストで表示して、物理ボタンで承認・拒否まで操作できます。

データはローカルネットワーク外に出ない設計で、ブラウザから2分でファームウェアを書き込めます。

Since I got a lot of nice reactions I made Clawy available for everyone to try! This tiny Claude Code companion is inspired by my JRPG filled childhood that lives in your pocket. More details below or visit https://t.co/605Y4q3fyX to flash your own 🙏 (ps don't click the paw) pic.twitter.com/yRw3lh0iGt

— Marc (@marcvermeeren) February 17, 2026

AIでハードウェアも作れる時代に

Clawyは市販デバイスを使ったものでしたが、こういった「物理的なデバイスで置けたら面白くない?」を加速するようなツールも登場しています。

「自然言語でハードウェアそのものを設計できる」というSchematikです。

image: Schematik

ざっくり言えば「ハードウェア版Cursor」。AIコードエディタのCursorが自然言語でソフトウェア開発を簡略化したように、Schematikは電子工作の世界でも同じことを実現しようとしています。

たとえば、「温度センサーとOLEDディスプレイを搭載したデバイスが欲しい」とハードウェア要件を伝えるだけで、Schematikは検証済みのファームウェアコード、配線図、部品の仕様、組み立てガイドまで生成してくれます。

さらにPlatformIO形式のプロジェクトファイルを直接インポートして「Flash」を押せば、ファームウェアが書き込まれて完成です。Arduino Uno、ESP32、Raspberry Pi Picoといったボードで動作し、電気工学の知識がなくてもハードウェアが作れてしまうのです。

かつてハードウェアを作るには、データシートを読み込み、ピン配線を調べ、ドライバのバージョン競合と格闘する……という工程が当たり前でした。それが今や「わかりやすい英語で指示するだけ」にまで圧縮された。

ソフトウェアの世界では、AIエージェントによって「誰でもアプリが作れる」時代が始まりつつあります。Claude CodeやCursorが普及し、コーディング未経験者でもアプリの原型を作れるようになった。

では、ハードウェアにも同じような革命は起きていくのか?Claude Code Tamagotchiのようなプロジェクトや、Schematikのようなツールが増えるにつれ、その答えはじわじわと近づいているように見えます。

Source: ifanr , GitHub

関連記事: