東大王・河野ゆかりが理三に現役合格した勉強法 「地頭は決定的な要因にならない」と語るワケ
「母親には『スマホは買わないでほしい』と自分から頼んでいました。誘惑に弱い自覚があったからです。今の時代はスマホを持たないことは難しいですし、持っていればAIを使って先生への質問事項をまとめるなど、有効活用もできます。ただ、スマホを触って『気づいたら1時間』ではダメです。私は大学時代、家でやるべきことができた時はスマホを玄関のポストに放り込んでいました。『SNSを見たい』と思っても、『面倒くさい』という感情になるからです」
食事面では、血糖値を急激に上げない昼食(低GI食品やタンパク質)を心がけていた。おいしすぎる間食も遠ざけていたという。コンディションを維持し、午後の眠気を防ぐための環境整備だ。
「もともとの私はチョコ1袋を10分で食べきってしまうタイプなので、あえて間食は魚肉ソーセージや栄養補助食品にしていました」
そんな河野は、自分自身を「2人」に分けているという。
「長期的な計画を立てて環境を整える『マネジャー』と、現場で淡々と動く『実行役』です。計画通りに進まなかった時、悪いのは実行役ではなく、無理な計画を立てたマネジャーという感じで」
だからこそ、計画は決めた時間までの「3分の2」で終わるように組む。残りの時間は不測の事態のための「バッファ」とし、予定通りに進めば日曜日はご褒美の自由時間にする。集中力が切れたタイミングはマネジャー役が冷静に記録し、「伸びしろのデータが取れた」と前向きに分析・改善していく。机に向かっているだけでは意味がなく、「やったつもり」を防ぐためのルールも徹底していた。
「勉強は『定着する』までが1セット。知識をインプットしただけで満足せず、何も見ずに自力で無意識にアウトプットできる状態まで持っていくことです。勉強時間の7割はアウトプットに割くべきです」
教科別のアプローチでは、数学・物理は公式の丸暗記を避け、「なぜ成り立つのか」の論理的根拠を理解する。英単語は日本語をいくつも並べて覚えるのではなく、核となる「ニュアンス」をつかんでいくことなど、河野が会得した勉強法を詳しく同書に記されている。東大理三の2次試験中、カフェインを摂取し過ぎて3回もトイレに行った話、東大で格段に視野が広がった理由なども明かしている。
現在、河野は研究に加え、複数の高難易度のプロジェクトを並行して進めている。この超多忙な生活を支えているのも、受験期に培った完璧な自己管理能力と「バッファ」を持たせた計画術に他ならない。最後に同書を通じて読者に最も伝えたいことを問うと、真摯(しんし)な眼差しでこう答えた。
「勉強に悩む読者の方に苦しんでいる原因は『自身ではなく仕組みにある』と知ってほしいです。なので、自分を責めたり、DNAのせいにしないでください」
才能や地頭を嘆く必要はない。環境と仕組みの改善に焦点を当てれば、前進できる。河野が伝える学習法は、受験生の強力なコンパスになるに違いない。
□河野ゆかり(こうの・ゆかり) 2000年6月14日、兵庫県生まれ。神戸海星女子学院中・高を卒業後、東京大理科三類に入学。TBS系『東大王』などに出演し、「東大医学部の絶景クイーン」として注目を集める。25年3月、東大医学部医学科を卒業し、医師免許を取得。同時に医療従事者との結婚とスイス移住を発表。現在はスイス・ジュネーブ大大学院に在籍しながら、東大・松尾研のAI講座や国際機関でのプロジェクトにも参画。趣味はワイン、旅行、読書、食べること(特にラーメン)、血液型A。