1億3700万年かけて届いた超新星の輝き ハッブル宇宙望遠鏡が観測した渦巻銀河「NGC 3285B」

こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した渦巻銀河「NGC 3285B」。

うみへび座の方向、約1億3700万光年先にあります。

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した渦巻銀河「NGC 3285B」。左端には超新星「SN 2023xqm」の輝きが捉えられている(Credit: ESA/Hubble & NASA, R. J. Foley (UC Santa Cruz))】

NGC 3285Bは「うみへび座銀河団(Hydra I cluster)」と呼ばれる大きな銀河団の一員ですが、銀河団の中心からは外れたところにあります。

銀河の明るい中心部を囲む渦巻腕(渦状腕)は、先端に向かうにつれて拡散するように広がっています。

ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた超新星の輝き

2023年11月、NGC 3285Bでは超新星「SN 2023xqm」が検出されました。

この画像でも、渦巻腕の左端あたりで輝く光点として、SN 2023xqmが写っています。

ESA=ヨーロッパ宇宙機関によると、この超新星は白色矮星を含む連星が関わるとされる「Ia型超新星」に分類されています。

Ia型超新星は、伴星からガスが流れ込むなどした白色矮星の質量が、太陽の約1.4倍という一定の値に達した時に起こるとされる現象です。

真の明るさがほぼ一定であり、観測された見かけの明るさと比較することで地球からの距離を割り出せると考えられていることから、宇宙の距離を測定するのに役立つ標準光源のひとつとして利用されています。

銀河までの距離測定では真の明るさと周期の長さの関係が知られているセファイド変光星を利用する方法もありますが、Ia型超新星を利用すれば、それよりも遠くの銀河までの距離を測定することができます。

ただし、超新星は一時的にしか現れないので、タイミングを逃さずに観測することが重要です。

ハッブル宇宙望遠鏡によるNGC 3285Bの観測は、100個のIa型超新星を観測する取り組みの一環として、2024年1月に実施されました。この取り組みで得られたデータは、宇宙の距離測定の精度向上に役立つことが期待されます。

この画像は“ハッブル宇宙望遠鏡の今週の画像”として、ESAから2025年7月21日付で公開されています。

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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