RTX 5070 Tiは4Kもサクサクで納得のコスパ(定価で買えればね)
RTX 5070 TiをRTX 5080の価格で買わないで!と。
2月20日、NVIDIA GeForce RTX 50シリーズのミッドレンジモデル、RTX 5070 Tiと5070が発売されました。米GizmodoのKyle Barr記者が、RTX 5070 Tiのパフォーマンスをベンチマークやゲームプレイで確認し、RTX5080や前世代のRTX 4070 Ti Superや4080と比較してます。
すでに売り切れて入手困難な状況ですが、だからこそ吊り上がったお値段に気をつけて!と注意喚起もしてます。詳細は以下どうぞ!
NVIDIA GeForce RTX 50シリーズではRTX 5080とRTX 5090が注目されてますが、お値段を考えると現実的なのは550ドル(日本価格10万8800円)からのRTX 5070と、750ドル(同14万8800円)からのRTX 5070 Tiの方かもしれません。
僕自身、5070 Tiを試してみて、確かに4K/60FPSのゲーム体験に新たな時代が来たと実感します。だって最高峰よりちょっと妥協するだけで、重たいゲームでも最高設定で安定したフレームレートを出すことができるんですから。
スペック的には2番手クラス
RTX 5070 Tiは、RTX 4090のパフォーマンスを半分の価格で実現したとされています。でも、テストした結果、RTX 5070 TiはAIによる上げ底分を差し引くと、どちらかというとRTX 4080に近いです。「去年の2番手相当」っていうとキャッチーさは薄れますが、それでも十分お得…かと思いきや、品薄やトランプの関税も響いて価格は高騰。ゲーマーにとっては厳しいです。
NVIDIAからはこのレビュー用に、Asus Prime RTX 5070 Tiを提供してくれました。今回初めて、「Ti(Titanium)」が付くバージョンもベースの5070と同時に発売され、5090が超プレミアムで5080がプレミアムだとすれば、5070 Tiは「サブプレミアム」の位置づけです。
NVIDIAいわく、TOPS(秒あたり演算回数)は5070が988に対し、5070 Tiは1406。メモリは12GBに対し16GB。メモリ帯域幅は672GB/秒に対し896GB/秒です。
それでも去年発売のRTX 4070 Ti Super(800ドル:日本価格11万5800円〜)より強力です。純粋なパフォーマンスの比較では、5070 Tiは去年のものより数パーセント改善しただけです。ただ、その数パーセントで十分なこともあります。Blackwellアーキテクチャに支えられたレイトレーシング性能で、『Alan Wake II』みたいなゲームでも、より高いフレームレートを出せます。
5070 Tiはほとんどのゲームで、4Kでウルトラ設定でもなんとか60FPS出せてました。もうこれだけで十分だし、マルチフレーム生成のコンセプトにも賛同できるなら、余計なお金をかけずにプレミアムなゲーミング体験ができるんです。RTX 20とか30世代を使いつつ、手ごろで高性能なカードを待ってきた人は、今やっと一息つけるかもしれません。
ただ、定価かそれに近い価格で買えるかどうかが問題です。RTX 50シリーズのカードは、すべて供給不足とトランプの関税と転売の影響で、どんどん値上がっています。5070 Tiもすぐに売り切れてしまいましたが、これからもし見かけても、RTX 5080と同じ値段だったら買わなくていいです。
秘めたポテンシャル
Image: Kyle Barr - Gizmodo USAsus Prime RTX 5070 Tiは、2.5スロット、3ファンのGPUで、デザインは比較的ミニマル。カーブしたサイドにはGeForce RTXロゴがありますが、RGBライトはありません。カードを立ち上げる物理スイッチがあり、静音モードかパフォーマンスモードかを選べます。でも、5070 Tiはピーク時でもそんなにうるさくないし、そもそもパフォーマンスを求めて買うGPUなのに、静音モードを使う必要があるかどうかわかりません。
このカードはオーバークロックされてなくて、VRAMは16GB(RTX 5070は12GB)、DisplayPort 2.1が3つ、HDMIポートが1つあります。また、内部温度が50℃以下になると、ファンが自動でオフになります。音が反響しやすいPCケースを使ってる人には、このAsus Primeがお勧めかもしれません。
ただ、装着はちょっと厄介でした。僕の12VHPWRコネクターがすごくタイトなので、ケーブルを入れるだけでもすごく力が必要でした。
4070 Ti Superより少し上、それで十分
Image: Kyle Barr - Gizmodo US僕が使ったPCは、CPUがIntel Core Ultra 285K、RAMはLDDR5X 32GB、冷却はiCUE H150i Elite水冷クーラー、電源は1,000WのCorsair RM1000e Plus Goldです。5070 Ti FEもAsus Primeも、電源容量は750Wが推奨です。4070 TiとTi Superでは700Wだったので、法外な要件じゃありません。ちなみにRTX 4090は850Wだったのが、5090では1,000Wになっています。
RTX 5080と5090の人工ベンチマークパフォーマンスの違いには驚愕しましたが、5070 Tiと5080の違いもまあまああります。3D Mark Speed Wayでは、RTX 5080のスコアは8,962に対し、5070 Tiは7,761でした。3D Mark Steel Nomadでは1,435ポイント差、Time Spy Extremeでは1,700ポイント差でした。
Time Spy Extremeでは、5070 Tiは13,615と、RTX 4070 Ti Superの11,625より約2,000ポイント高くなりました。リアルタイムレイトレ性能のテストに適したPort Royalでは、5070 Tiのスコアは4,070 Ti Superを4,027ポイント上回りました。この差は、RTX 5080とRTX 4080 Superの違いより大きいです。さらに、これらベンチマークでの5070 Tiのスコアは、4080 Superにほぼ匹敵してました。
ゲームプレイでの差は?
ただ実際のゲームプレイでのパフォーマンスは、そこまでドラマチックじゃなかったです。5070 Tiでは、多くのゲームで4K/60FPSをなんとか達成という感じでした。とくにヘビーなタイトルだと、レイトレ設定で妥協しなきゃいけない場面もあります。
『サイバーパンク2077』では、ウルトラ設定・DLSSはバランス・パストレーシングなしで、60FPS近くを出せます。パストレーシングを有効にすると、フレームレートは48FPS弱になりました。同じ設定でフレーム生成を4xにすると、フレームレートは100FPS近くにまでなります。ただ、やっぱりあくまでもAIによる生成なので、実際この設定でプレイしていても、100FPSだ!! ってほどの爆速感はなかったです。
ゲームによっては、世代間の進化がさほど感じられないものもありました。『Horizon Zero Dawn: Remastered』では、5070 Tiでは117FPS出てましたが、4070 Ti Superでも114FPSでした。『Alan Wake II』では、パストレーシングなしでDLSSがバランスの場合、5070 Tiは平均45FPSでしたが、4070 Ti Superの35FPSよりベターではあります。これも設定をいじれば60FPSを超えるものもあるし、4xフレーム生成を使えば160FPS近くまで出せるはずです。
でも、知りたかったのは、5070 Tiは去年から直近の大作をどれくらいさばけるかです。『Dragon Age: The Veilguard』では、DLSSがバランスモードでMax設定の場合、フレームレートは平均77FPSで、RTX 4080 Superと実質同じくらいでした。
『Marvel's Spider-Man 2』でも同様でしたが、画面の中身によってはフレームレートの下がり具合が大きかったです。レイトレーシング設定を「Very high」にすると、60FPSよりやや低くなります。フレームレートを安定させて、マルチフレーム生成も活かすには、設定もしっかり変えなきゃいけないです。
あとはRTX 20や30シリーズを使ってる人が移行するのに適しているかも見てみました。マルチフレーム生成非対応の『Kingdom Come II: Deliverance』を立ち上げると、最初のバトル部分で、DLSSはバランスモードで110FPS出せました。ちなみにRTX 4070 Ti Superでは、同じ状況でだいたいいつも5〜10フレーム少なかったです。
定価で買えれば最高だけど
Image: Kyle Barr - Gizmodo US5070 Tiも5080も、オーバークロックできるといわれてますが、僕はまだ試してないです。オーバークロックしたら、5070 Tiはコスパ最高といえる域に達するかもしれません。ただ残念ながら、今すぐ定価かそれに近い価格で買えるかどうかはわかりません。
RTX 5090のローンチ後、AsusもMSIも、RTX 5090と5080の価格を20%近くも上げてしまいました。
NVIDIA、Asus、MSI、転売ヤー、トランプの関税、誰を責めたらいいんでしょうか? いずれにしても、買う側には損しかありません。僕は5070 Tiをお勧めしたいんですが、それが本来より20%も高くなるなら話はだいぶ違います。
RTX 30シリーズ以前のグラフィックスカードを使ってる人なら、5070 Tiを手に入れればかなりのアップグレードが可能です。ただ、RTX 5080より高くなってしまってたら、一旦深呼吸して、頑張って数カ月待てるフリをしましょう。