りそながキャッシュレス決済強化、取扱高1.5倍の3兆円に-南社長
- JCBやデジタルガレージと協力深化、飲食・小売り向けアプリ展開
- 「手形・小切手など伝統的な手法が一気に変わる時代」との認識示す
りそなホールディングス(HD)はデジタル技術を使った決済事業を強化する。中小企業向けサービスの拡充が柱。2026年3月末までの3年間で2兆円としていたキャッシュレス決済取扱高の目標は既に達成しており、早期に3兆円まで引き上げることを目指す。
南昌宏社長がブルームバーグとのインタビューで明らかにした。南氏は「中小企業向けに新しい決済ソリューション、高度化されたサービスを提供する必要がある」と述べ、既に始めている中小企業向けのスマートフォンアプリに加え、決済に特化したアプリも新たに導入する方針を示した。
金利のある世界が本格的に到来し、国内銀行の間では預金の獲得競争が過熱している。個人向けでは方策の打ち出しが一巡し、足元では中小・零細企業への対応に焦点が移りつつある。りそなHDは決済の利便性向上などにより預金獲得につなげたい考えだ。
日本企業は99%が中小・零細とされ、大企業に比べ決済のデジタル化が遅れている。南氏は、りそなHDは既に提携しているクレジットカード大手のジェーシービー(JCB)や決済システムのデジタルガレージとの協力関係を深めると説明。デジタルガレージとは今後、飲食店や小売事業者に決済アプリを展開する。両社とりそなHDの担当者が共同で営業する体制も整えた。
南氏は「手形・小切手など、銀行が伝統的にやっていた決済手法が一気に変わっていく時代を迎えている」と話した。25年3月末のりそなHD(傘下銀行合算)の中小企業向け貸出金残高は全体の38%と大企業向けの24%を上回る。
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は5月に中小企業向けに決済や資金繰り支援を行う「Trunk(トランク)」というサービスを開始した。3年間で30万口座、3兆円規模の預金獲得を目指す。みずほFGも4月にGMOインターネットグループの関連企業と共同で企業の支払いや請求書発行をデジタル化するサービスを始めた。みずほの広報担当者によると、決済取扱高は3年で1兆円が目標だ。
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