PS Studios傘下スタジオも利用を検討している?画像生成AI「Midjourney」をディズニーとユニバーサルが提訴。「盗作の底なし沼」と大警戒

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ディズニーとユニバーサル・スタジオが、著作権で保護された多数のキャラクターの画像を生成したとして、画像生成AI「Midjourney」を6月11日に提訴。陪審裁判を要求したことが明らかになりました。

Midjourney

Midjourneyを「盗作の底なし沼」と呼ぶ両社

訴状によれば、ディズニーとユニバーサル・スタジオの有名キャラクター「ミニオンズ」「アナと雪の女王のエルサ」「デッドプール」「C-3PO」「ヨーダ」など数十枚の実際にAI生成された画像を例に挙げ、創作に対して一切のコストを支払わず、典型的な著作権フリーライダーであるMidjourneyを、両社は“盗作の底なし沼” “無許可でコピー品を際限なく生成する仮想の自動販売機”と呼んでいるとのこと。

また、Midjourneyがまもなくリリースする動画生成AIを最も危惧しているのではないかとの見方もThe Vergeの報道では見られます。

AI企業が著作権侵害で訴えられるのはこれが初ではなく、過去にはStability AI、Midjourney、DeviantArtの3社に対するアーティスト達による集団訴訟、「氷と炎の歌」の著者ジョージ・R・R・マーティン氏を含む作家グループからOpenAIへの集団訴訟もありました。しかし、ディズニーとユニバーサル・スタジオは、長期間の法廷闘争を戦い抜く資金力と強力な法務部門を持つハリウッドの巨大企業ゆえに、今回の訴訟はこれまでと一線を画すものになると注目を集めています。

生成AIは2022年頃から「学習過程において何を取り込んでいるのか」「問題が起きた場合の責任の所在は?」など、法整備が追い付かないこともあり、様々な混乱や摩擦を現在進行形で起こしています。すべてのクリエイターがこの変化を歓迎しているわけではありませんが、一方でAIツールは良くも悪くもゲーム制作の方法を変えつつあります。

例えば、PlayStation Studios傘下で新たに設立されたゲーム開発スタジオ・Dark Outlaw Gamesでは現在、デビュー第一作となるAAA級プロジェクトのための人材をごく最近まで募集していました。応募条件には「Stable Diffusion、Midjourney、ChatGPTおよび類似プラットフォームの使用に関する高度な専門知識を持つこと」「人間のアーティストと生成AIツールの両方によって作成された2Dアートワークを洗練・磨き上げることができる能力」が要件に含まれていました。

ゲーム&ゲーム業界専門メディア「Game Post」はこの求人を取り上げ、新進気鋭のスタジオのデビュー作で生成AIについて公然と言及していることは、ゲーム業界の今後の方向を示す兆候に思える、と述べています。

ライター:稲川ゆき,編集:H.Laameche

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