【田中泰輔】2026年の株・債券・為替・商品を考える、ゆく投資くる投資

●ポイント1:AI投資継続。需要見通しの裏付けが確からしい銘柄選別、ETF活用も一考 ●ポイント2:複数回の利下げケースでは、景気・バリュー株買いにも妙味 ●ポイント3:日本株も米AI関連、高市テーマ、外国人物色の銘柄を軸に、慎重に前向き ●ポイント4:米株集中投資に高値警戒が出やすくなることで、国際分散投資が促されやすい ●ポイント5:米利下げでドル安のケースでは新興国市場が活性化されやすい

●ポイント6:米利下げでドル安、先行き不確実性への警戒で、金への選好継続

安穏な予測と不穏なリスク

 2026年は投資家にとって、どんな年になるでしょうか。経済について、主要な予測機関の見通しは総じて良好です。米連邦準備制度理事会(FRB)が12月に公表したマクロ予測では、国内総生産(GDP)成長率+2.3%、失業率4.4%、個人消費支出(PCE)コア価格指数+2.5%で、2027年、2028年とそれぞれ中立水準に収束していくとしています。この過程で、利下げを0.25%ずつ、2026年と2027年に1回ずつ行うのが、中心予想です。

 欧州中央銀行(ECB)は、景気中立水準以下まで利下げを進めてきたこと、ドイツなど中核国で財政支出を増やすことから、景気はしっかりめで推移し、それでいてインフレは目標+2%前後に抑えられるとしています。日本銀行も経済見通しはまずまずです。米欧日とも足元では経済データに一定の底堅さがあります。従って、予測機関としても、あえて景気後退リスクを強調することはほぼありません。

 しかし、それぞれに不穏さも抱えています。米国は雇用と消費者心理の陰りが続いています。雇用者数の減少は、通常であれば、景気後退のシグナルとされました。しかし、先端的人工知能(AI)企業のAI導入によるリストラ、移民抑制、政府機関の一時閉鎖とリストラといった特殊事情が、景気全体へどう波及するかを読み切れずにいます。

 欧州は、金融財政政策の効果待ちとはいえ、中核であるドイツ経済の往年の強さを支えた自動車産業が劣勢となり、蜜月だった中国の需要が減退し、安価なロシア産燃料に頼れなくなっています。

 日本は、賃金の伸びがインフレに追い付かず、中国との関係悪化も響いてはくるでしょう。米利下げの進み方次第で、円高リスクも排除できません。高市政権の政策への期待はあるものの、成長戦略の成果は短期間で出るものではありません。積極的な補正予算はGDPを+1.4%押し上げるというのが政府の試算ながら、長期金利上昇などマイナス作用もあり、実際には+0.5%未満と評価されます。

 中国のマクロ情勢はさらに厄介です。深刻な不動産不況が内需に及び、デフレに陥りつつあるとみられます。AIなどデジタルの分野こそは、米国と競合できる唯一の国であり、活況を呈しています。しかしデフレ不況の先輩である日本の経験からすると、政策対応の遅れが、中国経済をむしばんでゆく途上に見えます。

 一見して安穏とした経済見通しの裏には、シナリオを暗転させるかもしれない、こうした不穏なリスクがくすぶっているのです。そこに政治リスクが絡んできます。

 米国では、トランプ関税の違憲裁判、中間選挙の結果次第で、政権の政策能力が問われるでしょう。極右が台頭する欧州では、特にフランス大統領選挙への警戒が強まりそうです。

 日本では、政権基盤が劣勢の高市政権は、政策効果が表れないまま、国民の高支持率が下がると、抵抗勢力の台頭を許すことにもなるでしょう。

 中国もまた、国内経済の混迷が政治体制への脅威になるか、国民の不満をそらす対外強硬策になるか、深刻なリスクになりかねません。

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