糖尿病の治療薬で「低血糖」「脱水」「肝機能障害」になる危険性も<重大副作用&危ない薬の飲み合わせリスト> (1/3)
静かに進行しているケースが多い「日本人型・糖尿病」。放置すれば動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞を引き起こす可能性もあるという。近年は新たな治療薬も登場しているが、投薬で「血糖値を下げればいい」と安易に考えるのは危険だ。見逃されやすい血糖値にまつわる薬の副作用をお伝えする。
竹村俊輔さん/糖尿病専門医・日暮里内科・糖尿病内科クリニック理事長、長澤育弘さん/薬剤師・銀座薬局薬局長
日本の糖尿病患者は「境界型」と呼ばれる予備群も含めると推計約2000万人に達する。うち95%は、遺伝的要因に食べ過ぎや運動不足などの生活習慣が重なり発症する「2型糖尿病」だ。
治療には日々の食事制限、運動療法や投薬が欠かせないが、厳格な食事・運動療法だけが糖尿病治療の「正解」ではない。
糖尿病治療に有効なのが、投薬による血糖値のコントロールだ。糖尿病治療薬は多種多様だが、医師に処方された薬が、ときに重大な副作用リスクを孕むこともある。
2022年9月、日本糖尿病学会は、臨床医向けに「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」を公表した。その背景について、糖尿病専門医の竹村俊輔さん(日暮里内科・糖尿病内科クリニック理事長)はこう言う。
「それまで2型糖尿病の薬の選択には明確な指針がなく、医師の裁量に委ねられていました。そこで現場の医師が適正な薬選びができるように、指針が作成されたのです」
学会の指針により薬の処方は適正化されたのか。
「専門医は5年ごとの認定更新があるので常に情報がアップデートされるのに対し、非専門医で指針を読んでいなければ、単に『処方数が多い』などの理由で薬を漫然と処方し続けているケースもあり得ます」(竹村さん)
薬剤師の長澤育弘さん(銀座薬局薬局長)もこう指摘する。
「糖尿病薬は血糖値を下げる作用機序により、効果の強弱、患者ごとの向き・不向きがあります。近年は次々と新薬が登場しており、糖尿病以外の疾患も診察する非専門医では全てを把握しきれないことも想定できます。
処方された糖尿病薬がどの種類かを理解している患者さんはむしろ少数で、薬ごとに異なる副作用について医師や薬剤師から詳しい説明を受けないまま飲み続けているケースも少なくない」