三菱UFJ、みずほもついに住宅ローン「変動金利」引き上げか…低金利競争の最終曲面突入で4月以降起きること 変動金利型を借りている人が今すぐとるべき最良策
日銀の利上げによって住宅ローン金利にも先高観がある。ファイナンシャルプランナーの松岡賢治さんは「住宅ローンの主力商品である変動金利型では、これまでネット銀行が多くの顧客を獲得していた。しかし、日銀の利上げ以降、三菱UFJ銀行やみずほ銀行が“攻勢”に出ている。その結果、低金利競争が激化し、足元では、既存の変動金利ユーザーが借換えで有利になるケースが出てきた」という――。
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2025年1月、日銀は政策金利を0.25%から0.5%へと引上げた。それにもかかわらず、住宅ローンの変動金利を引上げた銀行は少ない。その理由は、1~3月期は住宅ローンの需要が高まる“繁忙期”だからだ。
ここで、住宅ローンの8割近くを占めるという変動金利を引上げてしまうと、顧客獲得競争で不利になってしまう。銀行には、ある程度採算を犠牲にしても、金利を据え置く必要がある。
実は、これと似た状況が24年後半にもあった。日銀は、7月末に0.1%から0.25%へ0.15%の利上げを実施したが、8月、9月と変動金利を据え置いた銀行が多かった。やはり、9月は住宅ローンの需要が高い時期だったからだ。その後、10月になってから、ほとんどの銀行が変動金利を0.15~0.2%程度引上げている。
しかし、10月に入っても金利を据え置いた銀行があった。
それが、三菱UFJ銀行とみずほ銀行である。この2行は、25年になってもそのスタンスを変えず、1月の日銀の0.5%追加利上げ後も、依然として据え置きを続けている。
その結果、現在、三菱UFJ銀行の変動金利は0.345%とネット銀行を含めた主要行の中で最も低く、みずほ銀行はそれに次ぐ0.375%となっている(いずれの金利も新規借入で自己資金20%以上の場合/以下同)。
「短プラ」を上げても変動金利が変わらない理由
実は、両行とも、変動金利が連動するとされる「短期プライムレート」(以下「短プラ」)は引上げている。24年9月には0.15%を引上げており、25年3月にも0.25%の引上げを予定している。ユーザーが実際に借りる変動金利は「適用金利」と呼ばれるが、短プラを引上げても適用金利が変わらないのは、「基準金利」を据え置いたり、「優遇金利」を拡大しているからだ。
ここで、変動金利(=適用金利)の決まり方についておさらいをしておこう。まず、各銀行が独自に定めている「基準金利」がある(「店頭金利」と呼ぶ銀行も)。この基準金利から、ユーザーの返済能力などによって銀行が決める「優遇金利」を差し引いたものが適用金利になる。「適用金利=基準金利-優遇金利」という関係だ。
基準金利は、通常、短プラに連動するとされるが、原則は銀行が独自に決めるため、短プラを変更しても基準金利は据え置きで何ら問題はない。みずほ銀行の場合、新規貸出の基準金利はずっと2.475%をキープ。優遇金利は2.1%なので、適用金利は2.475%-2.1%=0.375%となる。
三菱UFJ銀行は、少し複雑で、24年10月に基準金利を0.15%上げたものの、優遇金利も同じく0.15%上げたため、適用金利は変わらなかった。現在は、基準金利2.625%で優遇金利は2.28%となっており、適用金利は2.625%-2.28%=0.345%となっている。三菱UFJ銀行とみずほ銀行とでは、金利操作の手法に違いはあるが、適用金利を据え置いている点では一致している。