女子中高生向け理系の仕事体験プログラムが、1年で激増 112社が「Girls Meet STEM」に参加
「Girls Meet STEM」は、高校で文系・理系の選択をする前に、女子中高生にSTEM分野の仕事を体験してもらい、活躍する女性のロールモデルから直接話を聞く機会を設けることで、理系進学に関心を持ってもらおうというプロジェクトです。メルカリの山田進太郎・代表取締役CEOが設立した公益財団法人山田進太郎D&I財団が呼びかけ、賛同した企業や大学が体験プログラムを実施しています。 背景には、理系に進む女子生徒が少なく、女性の理系人材が育たないという問題があります。同財団によると、OECD(経済協力開発機構)が加盟国の15歳を対象に実施した学習到達度調査(PISA)では、日本は「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」ともに世界トップレベルで、男女のスコア差はほぼありません。それにもかかわらず、大学でSTEM分野を学ぶ女子学生の割合は、OECDの中で最下位になっています。 「理系へ進学した後のイメージを持ちにくいことが、理系を選択しづらい一つの要因と考えられます。そのため、文理選択をする前の女子中高生にSTEM分野の仕事を知ってもらい、理系に興味を持ってもらうことがプロジェクトの狙いです」と、同財団「Girls Meet STEM」事業責任者の榊原華帆さんは話します。 「Girls Meet STEM」は、24年度に16社、24大学の協力でスタートしました。18都道府県でオンラインでの仕事体験やオフィスツアーなどを行い、同年度は1800人以上の女子中高生が参加しました。参加者のアンケートでは、76%が「進学先や職業のイメージがわいた」、72%が「将来こうなりたいと思える人を見つけた」と回答しました。 この調査結果も後押しし、25年度は112企業・機関、31大学、8高専が参画することになり、わずか1年で急速な広がりを見せています。25年度は全都道府県でプログラムを提供し、1万人以上の女子中高生を受け入れる予定です。 同財団広報の大洲早生李さんはこう話します。 「『Girls Meet STEM』はドイツの『ガールズデー』をモデルにしています。ドイツでは10歳以上の女子生徒に対して、STEM分野への興味を促す職業体験イベントを行っています。日本ではようやく大学生にインターンシップが広がり始めましたが、中高生のうちに、世の中にはどんな仕事があるのか、知るきっかけを与えたいです。『文理選択』というと、どうしても数学や理系科目が得意か苦手かで決めてしまいがちですが、理系の仕事をイメージできると、進路選択の幅はきっと広がるはずです」