関税巡る動揺に身構え、短期的な底模索も=今週の米株式市場
[ニューヨーク 4日 ロイター] - 7日からの週の米株式市場は、5年前のコロナ禍初期以来最悪となった前週に続き、関税を巡る混乱に直面する可能性がある。
トランプ米政権の相互関税発表で世界の金融市場に動揺が広がったことを受け、投資家は株価が少なくとも短期的な底に近づいている兆しを模索する見通しだ。
S&P総合500種(.SPX), opens new tabは4日までの週の下落率が2020年3月以来の大きさとなった。また、ダウ工業株30種(.DJI), opens new tabが調整局面に入ったほか、ハイテク株の多いナスダック総合(.IXIC), opens new tabは弱気相場入りが確認された。
S&P500は2月19日に付けた終値での最高値からの下落率が17%を超えた。LSEGのデータによると、相互関税発表後の2日間でS&P500企業の時価総額は約5兆ドル減少し、2日間での消失額として過去最大となった。
9日には相互関税のうち国・地域別に税率を上乗せする措置が発効することから、ボラティリティーが一層高まる可能性がある。
投資家の間では、トランプ大統領が今後数日で一部の国と交渉し、関税を部分的に撤回するとの期待がある一方、同氏が譲歩する可能性は低いとの見方もある。
シティのストラテジスト、スコット・クロナート氏は「(方針転換の)機会は狭まりつつあり、交渉の終着点にかかわらず、消費者や企業の信頼感は既に一定の打撃を受けた可能性がある」と指摘した。
見通しの暗さを示す兆候の一つとして、「恐怖指数」として知られるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のVIX指数(ボラティリティー・インデックス)(.VIX), opens new tabは4日、終値として20年4月以来の高水準を記録した。
関税で先行き不透明感が高まる中、市場は7日からの週に本格化する決算シーズンで各社が示す業績見通しを警戒している。米銀大手のJPモルガン・チェース(JPM.N), opens new tabやウェルズ・ファーゴ(Wファーゴ)(WFC.N), opens new tabが11日に決算を発表する。
10日発表の米消費者物価指数(CPI)にも注目が集まる。関税の影響が生じる前のインフレ率のベースラインとなる可能性がある。
コーヘン&スティアーズのマルチアセットソリューション責任者ジェフリー・パルマ氏は、市場が今後数日である程度の安定を示すことが非常に重要だと指摘。「市場の急激な動きという点で、非常に大きな2日間だった」とし、「われわれが決して見たくないのは、これが金融システムを不安定にする悪循環を生み始めることだ」と語った。
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