「クマ用防護服」急ピッチで開発進む ベアクローによる「致命傷」からパトロールする人間の身を守るには

(写真はイメージ/gettyimage) この記事の写真をすべて見る

 2025年、クマによる人的被害は過去最悪を記録。環境省によると、被害者は230人(死者13人)に達した(25年11月末時点)。そんななか、「致命傷や後遺障害の低減」を目的とした防護服の開発が急ピッチで進んでいる。

【写真】製品化された「クマ用防護服」はこちら

*   *   *

防刃ジャケットに問い合わせ続々

「この製品は、クマに対しても使えますか?」

 街なかで着られる防刃ジャケットを開発し、昨秋、インターネット上で公開したところ、こんなコメントが相次いだ。東北地方の山あいでインフラの保守を行う企業からは、「作業員の命を守る防護服を作ってほしい」と、依頼された。

 こうした声を受け、株式会社SYCO(サイコ、兵庫県神戸市)の笹田直輝・代表取締役CEOは「切実なニーズ」を感じている。

「クマが出没すると、時に自治体の職員や学校の先生は地域や通学路を見回らざるを得ません。頼りになる防具があればと思うのは、当然のことだと思います」(笹田さん)

 同社は通り魔などから身を守る防刃ベストなどを企画開発・製造販売する。だが、要望は寄せられたものの、「クマ用防護服」の製品化が実現可能なのか、当初、笹田さんは「確信が持てなかった」という。

クマパンチの凄まじい威力

 昨年、東北地方を中心にクマが多くの人的被害を引き起こした。日本ツキノワグマ研究所の米田一彦所長によると、ツキノワグマは主に人の顔や頭に一撃を与えた後、すぐに逃走するケースが多いという。「クマパンチ」の威力はすさまじい。骨が粉砕され、顔面がえぐりとられることが珍しくない。

 笹田さんは、防護服の開発を検討するにあたり、クマによる人的被害を四つに分類した。①爪が皮膚を切り裂く鋭的な外傷、②骨折などをともなう鈍的な外傷、③深い傷に繁殖した細菌による感染症、④顔面損傷などによる後遺症――。

 クマによる被害の多くに爪が関係していることから、爪が貫通しない製品を作ることで、②の鈍的外傷以外の被害をかなり軽減できると考えた。

関連記事: