グーグルがGmailをさらに進化──新機能「シールドメール」の正式版が待ち遠しい(Forbes JAPAN)
グーグルはGmailの改良を矢継ぎ早に進めている。世界で最も利用されているメールプラットフォームに多数のAI機能を追加し、20億人のユーザーにプライバシーと利便性のどちらを取るかという難しい判断を迫っている。今回の最新アップデートも同じ流れにあるが、相変わらずGmailユーザーは、従来のメール エイリアス機能とは異なる「別のメールアドレス」を扱う機能を必要としている。 ■マーケティングメール向けの「登録解除」機能はおおむね好評 グーグルが最近導入した変更──マーケティングメール向けの「登録解除」ボタンとバックエンド処理──はおおむね好意的に報じられた。スパムをワンクリックでゴミ箱に送れる方法を歓迎しない人はいないだろう。 しかし、これは応急処置にすぎない。本当に必要なのは「登録解除」機能ではなく、まったく新しいメールアドレスだ。無数のマーケターやスパマーのデータベースにまだ載っていないアドレスだ。連絡先情報を整理するためにユーザーが新規アカウントを作成すべき理由はいくらでもある。 もっとも、新しいメールアドレスが上手くいくのは同じ状態を繰り返さない場合に限られる。現状をこれ以上悪化させたくないのであれば、求められるままにメールアドレスを共有する習慣を改めなければならない。幸い、グーグルにはその解決策が控えている。 ■現在開発中とされる「Shielded Email(シールドメール)」機能 ただ、メールアドレスを丸ごと新規のものに変えるのは手間がかかるため、グーグルは中間策を用意している。それが現在開発中とされる「Shielded Email(シールドメール)」だ。これはアップルの優れた 「メールを非公開」(Hide My Emai)に対抗する機能で、オンラインでアドレス入力を求められた際、本来のアドレスの代わりに簡単にエイリアス(別名)を生成できる。エイリアスがスパムの発信源になったと判明したら削除すればよい。 つまり、必要なときにいつでも新しいメールアドレスを発行でき、任意のタイミングで無効にできる仕組みだ。エイリアスを共有した相手には本来のアドレスが見えないため、エイリアスを停止すれば、その情報を転売された先も含めて連絡が一斉に途絶える。 ■従来の「メール エイリアス」と何が異なるのか? Gmailのメール エイリアス機能では、例えば本当のメールアドレスが「forbesjapan@gmail[.]com」という場合、「forbesjapan+magazine@gmail[.]com」と元のユーザー名の後ろに「+」を付加し任意の文字列を追加する。これでは、本当のメールアドレスが迷惑メールを送り付けるスパマーにすぐに知られてしまう。 一方「Shielded Email」では、ランダムなユーザー名を自動生成し利用するため類推が難しく、本当のメールアドレスを秘匿できるという。ワンタップで機能を停止できるため、一時的な利用や使い捨てメールアドレスとしても扱いやすいとされる。 ■オートフィルシステムの一部になるとの調査も Android AuthorityはGoogle Play ServicesのAPKを解析し、「Shielded Email」が「グーグルのオートフィルシステムの一部になる」と報じた。保存済みのパスワードやユーザー名に基づいて自動入力候補が表示されるあらゆるアプリや画面が、この新機能の活躍の場になるという。 メールアドレス自体がマーケターや詐欺師の手に渡るのを防げる「Shielded Email」は、不要メールをまとめて登録解除するより根本的に優れている。そもそも多くのメールは利用者が自ら「登録」した覚えのないものだ。