「花火大会みたい」 開成中・高教諭の化学実験に子どもら歓声
光の実験に挑戦、歯医者さんになってみよう――。
企業・団体の出前授業を集めた小学生向けのイベント「学びのフェス2025春」(毎日新聞社・毎日小学生新聞主催、昭和女子大など協力)が26日、昭和女子大(東京都世田谷区)であった。
春休み中の親子ら約900人が参加し、身近なものを使った化学実験や、憧れの職業の従事者になりきる仕事体験などを楽しんだ。
学びのフェスは、毎年春と夏に開催している。今回は21の企業・団体が23の授業を開催。学校生活と同じように、1コマ40分で1~5時間の授業を行った。
歯医者さんになりきろう! 模型使い、お仕事体験
出展団体の一つ、日本歯科大学(東京都千代田区)の授業には、1コマあたり15人の小学生と保護者らが参加。教員らが講師となり、虫歯を治療することだけでなく、歯のクリーニングやフッ素塗布で歯の病気を予防することも歯科医や歯科衛生士の仕事だと紹介した。
歯の模型と道具を使い、歯科医師や歯科衛生士の仕事を体験する参加者=東京都世田谷区で2025年3月26日午前11時52分、近藤綾加撮影その後、参加者らは、歯の模型と医療現場で実際に使われている探針や照射器を使い、虫歯を予防する「シーラント」に挑戦。シーラントは、奥歯の溝が深く虫歯のリスクが高い場合に、溝に樹脂を埋め込んで予防する方法だ。乳歯から施すことができ、子どもの虫歯予防にも効果がある。
講師から「器具は鉛筆のように持とうね」「溝にシーラントを盛りすぎないようにするといいよ」とアドバイスを受けながら、参加者らは真剣な表情で取り組んでいた。
川崎市から親子3人で参加した上野花音さん(9)は、「初めて歯医者さんの器具を触れて楽しかった。ライトを当ててシーラントを固めるところが難しかったけれど、面白かった」と笑顔で話した。
日本歯科大の小児歯科専門医・指導医、名生幸恵さんは「触ったことのない器具でも、しっかりと説明を聞いて器用に扱えていた。授業をきっかけに歯の仕事に少しでも興味を持ってもらい、歯科医の後輩が増えてくれたらうれしい」と話した。
「花火大会みたい!」 光の実験で参加者ら歓声
開成中学・高等学校教諭の宮本一弘さんによる化学の出前授業=東京都世田谷区で2025年3月26日午後1時22分、近藤綾加撮影毎日小学生新聞は、大手進学塾「日能研」(横浜市)とコラボし、毎小の連載「学びや」の出張授業を開催。開成中学・高等学校教諭の宮本一弘さんによる化学実験では、分光シートを使って光の色を分ける実験に取り組んだ。
まずは、実験道具づくりから。参加者は、宮本さんの説明を聞きながら、紙コップの底に開けた2センチ角の穴を塞ぐように分光シートを置いて、セロハンテープで接着。もう一つの紙コップの底には、ボールペンで20個の穴を開け、二つの紙コップの口と口を合わせて実験道具を完成させた。
蛍光灯などは一見白い光に見えるが、実際には複数の色が混ざって白く見えている。そのため、分光シートを通して光を見ると、赤や青などさまざまな色に分かれて見える仕組みだ。
手作りした道具を使い、光の色を分ける実験に挑戦する参加者=東京都世田谷区で2025年3月26日午後1時34分、近藤綾加撮影手作りした実験道具をのぞいて照明の光を観察した参加者からは「花火大会みたい」「いろんな色が見えてきれい」「万華鏡みたい」などと大きな歓声が上がった。
その後、紫色や黄色などに光るライトを使って、「光の三原色」について理解を深めた。
授業後、東京都品川区の福森結音乃さん(8)は、理科の本を読むことが好きだといい、「分光シートを使うと見える色が変わって驚いた。帰ったら、家の照明でも実験してみたい」と声を弾ませていた。宮本さんは「光をのぞいた時の子どもたちのリアクションが良かった。身近にあるものを見て、不思議だなとか面白いなと思う気持ちを今後も大切にしてほしい」と話した。【近藤綾加】