いい仕事するじゃん。AIを使って抗生物質耐性菌に有効なタンパク質を生成

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AIの正しい使い方、だね。

オーストラリアの科学者チームが、人工知能(AI)を用いて大腸菌などの、抗生物質耐性菌に有効なたんぱく質の生成に成功しました。

2024年、AIが多くのたんぱく質を生み出し、ヘビにかまれた傷からガンの治療に至るまで、幅広い症状に利用されるようになりました。従来、特定の疾患に合ったたんぱく質を生成するには数十年単位の時間がかかっていましたが、AIによって桁違いに速いタンパク質設計が可能になりつつあります

今回、オーストラリアの科学者たちは大腸菌などの耐性菌の成長を阻害するタンパク質を生成可能なAIプラットフォームを開発しました。これで、スピーディに低コストで医薬品開発および診断ができるようになるため、バイオメディカル研究や患者ケアが大きく変わる可能性があります。

メルボルン大学Bio21研究所とモナッシュ・バイオメディシン・ディスカバリー研究所の共同研究を率いたグリンター博士とノット准教授は、昨年ノーベル化学賞を受賞したデビッド・ベイカー氏のアプローチを採用してAIタンパク質設計プラットフォームを制作。

ノット准教授は以下のようにコメントしています。

これらのタンパク質は現在、医薬品やワクチン、ナノマテリアル、小型センサーとして開発されており、その他にも未検証ながら、多くの用途が考えられます。

研究チームは今回、新たなプラットフォームに世界中の科学者が自由に利用できるAI駆動型タンパク質設計ツールを使用。「世界中の人々がこれらのツールを活用できるように、タンパク質設計を民主化することが重要です」と述べています。

現在、がんや感染症などの疾患の治療には自然界から抽出したたんぱく質が再利用されています。その際に行なわれる設計や試験にディープラーニングを活用し、特定の機能や特性を持つタンパク質の設計を効率化をすすめることで、コスト削減や開発の加速化を実現できるのだといいます。

ノーベル化学賞のデビッド・ベイカー氏が発表した研究以降、さまざまなツールやソフトウェアが開発され、今回のAIタンパク質設計プラットフォーム制作にもその研究が生かされています。これは昼夜を問わず努力してきた、2人の素晴らしい若手科学者の起業家精神の証であると賞賛されています。

ノット准教授は、

モナッシュ大学とメルボルン大学による本プログラムは、設計プロセスを隅々まで理解している優秀な科学者チームが運営しています。

タンパク質構造と機械学習に関する深い知識により、AIタンパク質設計における最先端ツールを定期的に導入できる、非常に機敏なプログラムとなっています。

と自信を見せています。

まだ、臨床の現場で実際に使用されるには超えるべきハードルはいくつもありますが、人間だけでは解消できない問題を解決するという、AI本来の役割が果たせる絶好の機会ですから、是非活用してほしいですね!

Source: Nature via EurekAlert

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