米、インドに農産物や電子商取引でアクセス拡大求める-貿易協議で

米国とインドが協議中の貿易協定は、農産物や電子商取引、データストレージ、重要鉱物の市場アクセス拡大を含む19分野をカバーする予定であることがわかった。事情に詳しい関係者が明かした。

  インドのモディ首相と米国のバンス副大統領が21日の会談後、2国間貿易協定の交渉枠組みで最終合意したと発表した。この枠組みには、物品だけでなくサービス貿易も含まれている。その他のいわゆる「チャプター」と呼ばれる項目には、汚職と原産地規則もある。トランプ米大統領は、インドに26%の上乗せ関税を課した。

  インドは、2月のモディ氏のホワイトハウス訪問を経て、米国との貿易交渉を最初に開始した国の一つだ。トランプ政権が貿易協定でどのような譲歩を求めるのか、そのヒントを得ようと、投資家は米・インドの協議を注視している。両国は、これまでに合意した条件の詳細や、最終合意までの詳細な時間枠を明らかにしていない。交渉が進行している間、インドが関税の免除を求めているかどうかも不明だ。

  インド商工省は、問い合わせに今のところ返答していない。

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  インドと米国の交渉担当者は今後、19分野で協議を開始するが、交渉は厳しいものになりそうだ。

  米国は、農産物での市場アクセス拡大を求めており、インドに関税やその他の貿易障壁の削減を迫っているが、インドの主要な有権者層である農業従事者は反発している。インドは世界の主要な食料生産国の一つで、米国では一般的な遺伝子組み換え大豆やトウモロコシを厳しく規制している。

  電子商取引分野では、アマゾン・ドット・コムウォルマート傘下のフリップカートといった米国企業が、市場アクセスの拡大と、リライアンス・インダストリーズをはじめとするインド企業との公平な競争条件を長い間求めてきた。インドの政府は長年に渡り、国内の何千万もの小規模小売業者を、米オンライン小売大手の資金力から保護する政策をとってきた。

  関係者は、米中の通商対立で「武器化」されている重要鉱物や、適正な規制慣行、貿易の技術的障壁も交渉の議題になるとの見通しを示した。

  ベッセント米財務長官は今週、両国は合意に「非常に近づいている」と述べ、インドには日本や韓国と並び、早期の妥結を模索していると述べた。インドと米国は、両国間の貿易を昨年の1276億ドル(約18兆3000億円)から、2030年までに5000億ドルに拡大する方針だ。

原題:US Seeks India Trade Deal on E-Commerce, Crops and Data Storage(抜粋)

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