キオクシア:大幅増収増益、業績好調予想で目標株価を維持(トウシル)
8/3 17:27 配信
キオクシアホールディングスの2027年3月期1Qは、売上高5.16倍、営業利益28.29倍。データセンター向けNAND、SSDが好調。平均販売単価は前4Q比約70%上昇。今2Qも業績好調が予想され、今2Q売上高は今1Q比35%増へ。1対3株式分割と8,000億円の自社株買いを行う。目標株価14万円を維持する。毎週月曜日午後掲載
本レポートに掲載した銘柄:キオクシアホールディングス(285A、東証プライム)
1.キオクシアホールディングスの2027年3月期1Qは、売上高5.16倍、営業利益28.29倍。
キオクシアホールディングス(以下キオクシア)の2027年3月期1Q(2026年4-6月期、以下今1Q)は、売上高1兆7,671.17億円(前年比5.16倍)、営業利益1兆2,700.17億円(同28.29倍)となりました。前4Q比でも大幅増収増益となりました。 アプリケーション別売上高を見ると、SSD&ストレージ(PC、データセンター、エンタープライズ向けSSD、NAND等)は前4Q6,003億円から今1Q1兆1,747億円へ急増しました。AIエージェントブームの恩恵でAIサーバー向けがNAND需要の牽引役となりました。非AIサーバー向けもAIエージェントブームによって需要が増加しました。 またスマートデバイス向け(スマートフォン、タブレット、テレビ等の⺠⽣機器、⾞載向けメモリ製品等)も同3,373億円→5,257億円へ増加しました。高価格帯スマートフォン向けが堅調でした。 全社で見ると、平均販売単価は今1Q比約70%上昇しました。全てのアプリケーションで上昇しました。ビット成長率は全社で一桁台前半の成長率で、特にデータセンター向けが強い増加になりました。 一方で、前4Q決算発表時の今1Q会社予想業績に対して若干未達となりました。販売単価は会社想定よりも上振れしたものの、一部の出荷が今2Qになったこと、従業員還元引当金(年間約500億円)を計上したこと、株価上昇によって株式報酬費用が増加したこと、訴訟損失引当金366億円を販管費に計上したことによります。
表1 キオクシアホールディングスの業績表2 キオクシアホールディングス:アプリケーション別売上高(四半期)
2.今2Qも大幅増収増益が予想される。
会社側の今2Q業績予想は、売上高2兆3,900億円(前年比5.33倍)、営業利益1兆8,900億円(同22.0倍)です。引き続き四半期ベースで大幅増収増益が続く見通しです。 会社側の見方では、販売価格、販売数量とも今1Qから増加する見込みです。LTA(長期契約)が進展している模様なので、これはNAND、SSDの高価格が持続する要因になります。また、研究開発費は2027年3月期通期で2,000億円を計画しています(2026年3月期は1,410.52億円)。 一方で今期設備投資計画については、会社側は期初計画通り4,500億円を維持しました。シェアを追わないとしています。競合するSKハイニックスが7月上旬に発表したところによると、NANDに対して80兆ウォン(8.7兆円)を投じて新工場を建設する計画です。2027年着工、2029年前半に稼働開始の計画です。 SKハイニックスの大型NAND投資は、キオクシアにとって重大な脅威となりかねない計画です。しかしキオクシアの場合、NANDの生産技術、最先端製品の開発能力に優れているため、汎用品の数量を追わずとも自社の最先端品によって高い成長を実現できるという読みがあると思われます。ただし、キオクシアでは必要な場合は設備投資を増額するとしています。 また、これは全くの私見ですが、今1Qのキオクシアの営業キャッシュフローは8,663億円です。今2Qには1兆円を超える営業キャッシュフローが獲得できると思われます。日本企業が経験したことのないスピードで巨額の営業キャッシュフローがキオクシアに流入しているのです。仮にSKハイニックスに対抗して大型設備投資を行う場合は数兆円規模の設備投資になる可能性があります。年間数千億円の設備投資しかしてこなかった会社が数兆円の設備投資を行う場合、計画策定には時間がかかると思われます。 このような状況を総合的に考慮し、楽天証券ではキオクシアの2027年3月期を売上高10兆4,000億円(前年比4.45倍)、営業利益8兆1,400億円(同9.35倍)、2028年3月期を売上高16兆5,000億円(同58.7%増)、営業利益13兆2,800億円(同63.1%増)と予想します。 楽天証券では、今2Qの今1Q比増収率を会社予想と同じ35%増とし、今3Q、今4Qの前四半期比増収率を20%としました。また2028年3月期は来1Qから増収率が低下すると想定しました。会社側が指摘するようにAIエージェントブームはまだ初期段階であるとすると、このような伸びの低下は起こらないと思われますが、保守的に予想しました。 AIデータセンター向け半導体需要の増加の主たる要因になっている米国大手ITの設備投資は順調に増えています。またNAND市況(パソコン、スマートフォン向け)が上昇してきており、これがデータセンター向け高性能製品の価格上昇にも結び付く可能性があります。キオクシアが今後も高成長を続けるファンダメンタルズは十分整っていると思われます。
表3 キオクシアホールディングス:アプリケーション別売上高(通期ベース)グラフ1 キオクシアホールディングスの設備投資(四半期)グラフ2 キオクシアホールディングスの設備投資(通期)表4 米国大手ITの設備投資額(暦年)グラフ3 NAND型フラッシュメモリの市況
3.キオクシアホールディングスの今後6~12カ月間の目標株価は、前回の14万円を維持する。
キオクシアホールディングスの今後6~12カ月間の目標株価は、前回の14万円を維持します。 楽天証券の2028年3月期予想1株当たり利益(EPS)1万6,550.6円に対して、2027年以降にNAND価格が上昇せず横ばいに転じ、2028年3月期下期からキオクシアの四半期業績が横ばいになると想定し、想定株価収益率(PER)5倍を当てはめると目標株価は8万2,000円になります。 一方で、2028年3月期に続き2029年3月期も二桁増収増益ができると予想して、想定PER10倍を当てはめると、目標株価は16万5,000円となります。いずれも今の株価よりも高い株価になります。 注目したいのは、7月31日終値で計算した予想PERです。2027年3月期は4.6倍、2028年3月期は2.8倍と極端に割安になっています。 会社側は、2026年9月30日付けで1対3の株式分割を行うことを公表しました。また、8,000億円を上限とした自社株買いを行います(2026年8月3日から2026年10月30日まで)。 これらを総合的に検討し、キオクシアの目標株価は前回の14万円を維持します。 引き続き投資妙味を感じます。
本レポートに掲載した銘柄:キオクシアホールディングス(285A、東証プライム)
今中 能夫
最終更新:8/3(月) 17:54