日本政府が中国に抗議、石破首相と王外相の面会内容「事実と異なる」

日本政府は、中国が発表した石破茂首相と中国の王毅外相との会談に関する記述について、事実と異なる部分があるとして削除を求めた。

  前週末に来日した王外相は、日中経済対話などの一連の会合出席に合わせて石破首相を表敬訪問した。その際、中国外務省は、石破首相が王外相に対し、日本は「中国側が詳述した立場を尊重する」といった趣旨の発言をしたと発表したが、日本の外務省によると、石破首相がそのような発言をした事実はないという。

  中国側の声明では、石破首相が尊重するとしている立場について明確にされていない。一方で、王外相が日本に対し、日中外交の基礎となる四つの文書の順守や両国関係の法的基盤の保護などの要求に加えて、歴史問題や台湾問題に関する重要な政治的コミットメントを誠実に履行すべきだと述べたとしている。

王毅中国外相(中)、趙兌烈韓国外相と面会した石破茂首相(3月21日)

  日本による抗議は、トランプ米政権による追加関税の影響に各国が身構え、米中間のさらなる対立が予想される中で行われた。日本は、安全保障上の同盟国である米国と最大の貿易相手国である中国との間で板挟みになることが多い。加えて、台湾問題の取り扱いは日中間で重要な争点となっている。

  林芳正官房長官は24日午前の定例会見で、中国側の発表後に抗議し、「事実と異なる記述を直ちに削除するよう申し入れた」ことを明らかにした。その上で、「事実と異なる発表が発出されたことは遺憾だ」と付け加えた。中国側の反応についてはコメントを控えた。

  日中関係では、日本の自衛官トップを務めた岩崎茂・元統合幕僚長が台湾の行政院(内閣府)の政務顧問に任命されたニュースが流れたばかり。その数日後の林官房長官の発言を受け、台湾を巡る両国間の立場の違いに再び注目が集まった。

  日本は台湾と緊密な関係にあり、主権に関する「現状」変更に反対している。一方、中国は台湾編入の野心を隠さず、そのための武力行使の可能性を排除していない。

  王外相は22日、岩屋毅外相と会談し、両国間の懸案について協議した。

  日本の外務省が発表した声明によると、日中外相会談で、日本側は台湾と中国間の問題の平和的解決を促し、力や威圧による一方的な現状変更の試みに反対する立場を繰り返し伝えた。

原題:Japan Protests China’s Description of Ishiba and Wang Meeting(抜粋)

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