山尾氏公認見送り、判断遅れた理由は 国民・玉木代表一問一答
国民民主党の玉木雄一郎代表は12日、参院選比例代表への公認を見送った山尾志桜里元衆院議員が党執行部を批判するコメントを発表したことについて、国会内で記者団の取材に応じた。主な一問一党は次の通り。【構成・遠藤修平】
――山尾氏が公認見送りについて大変残念とコメントし、離党届を提出した。
◆(山尾氏の)優れた政策能力を評価し、過去もいろいろあるが再チャレンジ(する機会)を提供する思いで一旦公認を内定した。公認しない結果に至ったことは本当に申し訳ない。こちらからお誘いしたにもかかわらず、公認しなかったことは率直におわび申し上げたい。非常に優れた能力をお持ちなので、これからもコミュニケーションを取らせていただき、何らかの力を貸していただきたい。
Advertisement――擁立の選考過程を巡り、党の統治能力に疑問があるとコメントしている。
◆ありがたい指摘だ。15人でスタートした政党が一定の規模になった。小さな政党で可能だったガバナンスとある程度規模が大きくなった組織のガバナンスは同じではいけない。浅野哲・党青年局長に党の意思決定に関わるガバナンスコードの策定を指示した。しっかり反省し、今回の教訓を生かして、より強固なガバナンスを持った組織へ発展するきっかけとしたい。
――山尾氏は10日の記者会見について代表・幹事長に同席を求めたところ、(内定者)辞任であれば応じると回答されたと主張している。事実か。
◆先週の段階で(公認は)相当厳しいという声は全国、また党内議員から出ていた。このままでは難しいという感触は本人にも伝え、今回については円満に辞任をと(求めた)。我々としても公認見送りではない形にできないか、幹事長や両院議員会長を中心に模索をした。ただ、本人として自ら引く選択肢はないということだった。選んだ責任があるから、撤退することについては本人だけでなく、我々からも丁寧に説明しようと話していた。
――離党届の提出は確認したか。党の対応は。
◆今日の午前中に党事務局にお持ちになったと聞いている。手続きを経て受理することになると思う。
――以前から山尾氏擁立への批判はあった。見送りの判断が遅れた理由は。
◆皆さんの関心は8年前のプライベートなところだった。政策的な話や2020年9月の我が党結党以来の政策、例えば憲法改正については私としても答えられる。ただ、その前の政党(民進党など)のことやプライベートなことについては我々も知らない。会見でも全ては言えないとのことだった。曖昧な答えになることが本人にプラスになるかを、世の中の反応も含めて慎重に見極めていたのが正直なところだ。
それが遅くなったという批判があるとしたら、率直に受け止めたい。会見で過去のことも含めて皆さんが納得できる説明ができれば、大きく世論も変わるという希望もあった。ただ理解と信頼を十分に回復するには至らなかった。改めて両院議員総会で公認内定を公認に移行しないと決めたのがこの間の経緯だ。
――山尾氏は早期の会見実施を望んでいたと主張している。党側が止めていたのか。
◆止めていたという意識はない。会見をすることで理解を得られるのか、信頼を回復できるか、世論の変化も含めて注意深く見定めていた。会見のやり方、内容によってプラスにもマイナスにも働くことがあるので、どういう形がベストなのかをずっと模索し続けてきたのが実態だ。
――山尾氏は党の都合で排除されるようでは、他の希望者も立候補をためらうと指摘している。
◆まさにガバナンスの改善が必要だ。一旦国会議員を中心に決めて、地方に諮ったら反発があるので覆したというのも、手続きとしてどうなのか、ガバナンスのルールとしてどうなのかというのはご指摘の通りだ。意思決定に地方の声を最初から入れる、サポーターの声を聞く。何か候補者選定においても改善が必要だと反省している。
――10日の会見は、山尾氏が押し切って開催したのか。
◆結果としてそうだ。(会見で)説明を尽くし、世の中のご理解が十分に進み、これまでの印象や疑念が全て晴れれば、そのまま公認を維持する用意はあった。ただ、残念ながら会見を受け、役員会のみならず、所属議員の声、また中央の声、都道府県の声を聞いた結果、疑念や不信感を払拭(ふっしょく)するものにはならなかったので、最終的に翌日、正式決定したという流れだ。