ピカソの絵画が行方不明に、展覧会へ向かう途中で消失か スペイン

(CNN) スペインの警察が、消えたパブロ・ピカソの絵画について捜査を行っている。当該の作品は展覧会へ向かう途中で行方不明になったとみられる。

1919年に制作されたグアッシュ画「ギターのある静物」は、縦12.7センチ、横9.8センチの作品。スペイン南部グラナダのカハ・グラナダ文化センターで開催中の特別展で、10月9日から展示される予定だった。

スペイン南部の展覧会で展示予定だったピカソの1919年の作品「ギターのある静物」/Picasso

同文化センターを所有するカハ・グラナダ財団は17日、ロイター通信に対し、この作品は個人収集家が所有しており、推定60万ユーロ(約1億円)の保険がかけられていると確認した。

カハ・グラナダ財団による16日の報道向け声明によれば、運送会社の車両が3日、マドリードから作品を運び込むため、予定通り文化センターに到着したという。

同センターによると、全ての作品は車両から貨物用エレベーターへと、一度に途切れることなく運ばれた。運送会社の従業員は全員、一斉にこのエレベーターで上階へ移動した。

作品はその後、ビデオ監視の下でエレベーターから展示会場へ移されたと、声明は述べている。

それぞれの荷物の出所を確認した後、展覧会責任者は運送会社との間で、翌週6日の作品開梱(かいこん)に先立ち、配達完了の署名を行うことで合意した。

同センターによると、荷物は週末を通して常にビデオ監視下に置かれ、開梱は6日の午前8時半に開始された。

録画映像を確認した結果、週末にかけて何の異変もなかったという。

この日の午前中半ばまでに、カハ・グラナダ財団のスタッフは作品の開梱を終え、室内に設置した。

この時、展覧会のキュレーターと展示責任者は、ピカソの「ギターのある静物画」が紛失していることに気付いた。

声明によると財団はその後、紛失した作品について警察に通報した。

週末のビデオ録画を確認したものの、不審な事象は発生していなかったという。

グラナダ警察は17日、CNNへの声明で「現在捜査が進められており、絵画がいつどこで消失したかを特定しようとしている」と述べた。

警察は、行方不明の作品は盗難美術品の国際データベースに追加されていると述べたが、現在グラナダでは国際的な警察協力は行われていないと説明した。

オークションで最大1億7900万ドル(約270億円)の値がついたこともあるピカソの絵画は、盗難の標的となることが多い。

19年にはオランダの美術捜査官が、ピカソの1938年の傑作「ドラ・マールの肖像」を20年ぶりに発見した。2800万ドルの価値があるとされる同作は、フランス南岸沖でサウジアラビアの族長のヨットから盗まれていた。

2021年にはギリシャの警察が、アテネ国立美術館で大胆な強盗に遭って盗まれてからほぼ10年後に、ピカソの「女の頭部」とピエト・モンドリアンの「水車のある風景」を回収した。

そして昨年はベルギー警察も、アントワープ市の地下室で盗まれたピカソの絵画を発見している。

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