NASAの火星探査車「パーサヴィアランス」がダストデビルを背景にパシャリと自撮り
2025年5月10日は火星探査車「パーサヴィアランス」にとって、火星1500日目となる記念日。そんな日にパシャリと撮った自撮り写真が、NASAによって公開された。
パーサヴィアランス的には、火星の自然現象がシャッターチャンスと思ったのだろうか?
カメラ目線で決めたセルフィーの背後にちゃっかり「ダストデビル(塵旋風)」が写り込んでいたのだ。
今回5回目となる自撮り写真の撮影場所は、ジェゼロ・クレーターの縁にある「ウィッチ・ヘーゼル・ヒル(Witch Hazel Hill)」と呼ばれる地域だ。
その日は火星での1,500日目の記念日(なお火星の1日は24.6時間なので、地球時間では1,541日目に相当)で、パーサヴィアランスはロボットアームの先端に取り付けられたカメラを自らに向けパシャリ。
リモートセンシング用マストがカメラを向いており、ばっちりカメラ目線になっている。おまけに背後に「ダストデビル(塵旋風)」が乱入してくれたおかげで、最高のショットになった。
パーサヴィアランスの画像チーム責任者であるNASAジェット推進研究所のジャスティン・マキ氏によると、この記念日は格好の撮影日和だったとのこと。
おかげで車体やそこに搭載された装置だけでなく、5kmも離れた位置に発生したダストデビルまで綺麗に撮影することができた。
「このときの太陽高度が高く、視界も比較的クリアだったため、北に5km離れたネレトヴァ渓谷に現れたダストデビルの姿も撮影できました」とジャスティン・マキ氏。
この画像を大きなサイズで見る2025年5月10日に撮影された自撮り写真。足元にある穴は、サンプルを採取した際に掘削したボーリング孔だ。背後には小さく「ダストデビル(塵旋風)」が映り込んでいる。/Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSSなおこの写真は、1時間かけて撮影された59枚の画像を、地球のスタッフが合成したものであるそう。
パーサヴィアランス画像科学者であるマリン・スペース・サイエンス・システムズ社のメーガン・ウー氏によれば、そのためにロボットアームを62回も動かさなければならなかったそう。だが、その甲斐はあったとご満悦の様子だ。
この画像を大きなサイズで見るこちらは2025年4月29日、ミッション開始から1,490火星日目にサンプル採取を行なっていた際、偶然映ったダストデビルだ/Credit: NASA/JPL-Caltechロボットアームを62回も精密に調整しなければならず、撮影には1時間かかりました。でも、それだけの価値はありました。
ダストデビルが映り込んだことで、特別な1枚になりました。まさに名ショットです
写真には、ダストデビル以外にも面白いものが写っている。例えば、その足元に目を向ければ、標本採取のために掘られたばかりのボーリング孔がある。
またパーサヴィアランスの車体がかなりの砂埃で覆われているのもわかる。
だがこれは勲章のようなものだろう。この写真が撮影された時点で、パーサヴィアランスは37個の岩石を分析し、26個の岩石コアを採取。総移動距離は約36kmを超えている。
ジェット推進研究所で、パーサヴィアランス・プロジェクトマネージャーを務めるアート・トンプソン氏は、「1,500火星日を経て、たしかに少々埃っぽくなりましたが、真の魅力は中身にあります」と語る。
この画像を大きなサイズで見るこの自撮り写真は59枚の画像を合成して作られたものだ。遠くに見える火星の砂塵旋風をはじめとする様々な地形が捉えられている /Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS放射性同位体熱電発電機が安定した電力を供給し、大きなトラブルなく各種システムが稼働。だからこそ、パーサヴィアランスはたった一人、火星という異世界で素晴らしい成果をもたらし続けているのだ。
現在、パーサヴィアランスはジェゼロ・クレーター西縁の「クロコディレン(Krokodillen)」と呼ばれる場所を探査しているとのことだ。
今後もパーサヴィアランスの活躍に期待したい。
References: Devil’s in Details in Selfie Taken by NASA’s Mars Perseverance Rover
本記事は、海外の記事を参考に、日本の読者向けに重要な情報を翻訳・再構成しています。