2025年6月2日の火星の風景:地質の歩みを物語る1枚【今日の宇宙画像】
【SAPOD】今日の「宇宙画像」です。soraeが過去に紹介した特徴的な画像や、各国の宇宙機関が公開した魅力的な画像、宇宙天文ファンや専門家からお寄せいただいた画像を紹介しています。(文末に元記事へのリンクがあります)
(引用元:NASA)
破砕した岩盤と散らばる岩石
アメリカ航空宇宙局(NASA)が公開している「Mars Perseverance Raw Images」では、火星探査車「Perseverance」が撮影したRAW画像を日々更新しています。今回ご紹介するのは、Perseveranceのミッション第225週にあたる2025年6月2日に撮影された1枚です。
※…2025年6月2日はPerseveranceのミッション1523ソル目にあたります。1ソル(Sol)は火星の1太陽日を指し、地球時間で約24時間40分に相当します。
- Image Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU
- NASA - Mars Perseverance Sol 1523: Front Right Hazard Avoidance Camera (Hazcam)
今回の画像は、Perseveranceに搭載された前方右側の「HazCam (Hazard Avoidance Camera)」で撮影されました。HazCamは前方に4台、後方に2台の計6台が取り付けられており、岩や溝などの障害物を検知して走行経路の安全を確保するほか、ロボットアームを動かす位置の確認にも使われます。
画面いっぱいに広がるのは、淡黄色の岩盤が砕けたような地形と、大小さまざまな岩石が散在しています。岩の表面には、長期間にわたる風化や砂塵による侵食の痕跡がみられます。
とくに中央左側に見える比較的なだらかな土壌部分と、その周囲に帯状に走る亀裂の入った岩盤は、古代火星の流水作用や火山活動、衝突など複合的な過程によって形成された可能性があります。これらの痕跡は、火星の長い地質の歩みを物語っています。
なお、右下に映り込んでいる影はPerseveranceの車体の一部です。
火星探査車Perseveranceとは
Perseveranceは、NASAが2020年に火星に送った探査車で、火星の地質や気候の調査、古代生命の痕跡の探索、将来の有人火星探査に向けた技術実証を目的としています。
【▲ 火星探査車Perseveranceに搭載されている観測装置の位置を示した図。Mastcam-ZとSuperCamはどちらもPerseveranceのマスト、通称“ヘッド(頭)”と呼ばれる部分に搭載されている(Credit: NASA/JPL-Caltech)】編集/sorae編集部