トランプ氏、米中通商協議で「合意成立」-両国首脳の承認待ち

米国と中国の代表団はロンドンで行った貿易協議で、貿易摩擦の緩和に向けた暫定的な計画で合意に達した。世界の2大経済大国の間で重要な物品の流れを再開させるもので、両国首脳の承認を待つことになる。

  トランプ米大統領は11日、中国との間で貿易に関する枠組みで合意が成立したと述べ、合意内容には中国がレアアース(希土類)を「先行して」供給する取り決めや、中国人学生による米大学への留学に関する内容が盛り込まれていることを明らかにした。

  トランプ氏は、ソーシャルメディアに「中国との合意は成立した。あとは習近平国家主席と私の最終承認を残すのみだ」と投稿。同氏はさらに、米国の関税率が「合計で」55%になるとも述べたが、それ以上の説明はなかった。

  中国商務省にコメントを求めたが、まだ返答は得られていない。

  米中は先月スイスのジュネーブで合意した内容を実行に移す方法を巡る枠組みで合意。中国商務省の国際貿易交渉代表を務める李成鋼次官は「率直で踏み込んだ」交渉が行われたとし、米中の代表団が今回の提案をそれぞれの首脳のために持ち帰ると述べていた。

  ラトニック米商務長官は、「最初にネガティブな要素を取り除く必要があった」とした上で、「今後は前向きな貿易、成長する貿易を目指して進んでいける」と発言。中国によるレアアースや磁石の輸出に関する問題が、「この枠組みの実施によって確実に解決されると全面的に期待している」と述べた。

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  ラトニック氏によれば、中国側は米国の自動車メーカーや防衛関連企業にとって重要なレアアースの出荷を加速させることを約束。米国側も一部の輸出規制を緩和する。両国間で最も難しい問題の二つで進展があったことを示唆している。

  ラトニック氏は記者団に、「ジュネーブでのコンセンサスを実行する枠組みで一致した」と言明した。

  中国国営の中国中央テレビ(CCTV)が伝えたところによれば、何立峰副首相は11日、米中の経済・貿易協議メカニズムをさらに活用し、合意形成を進め、誤解を減らし、協力を強化すべきだと述べた。

  「合意履行において誠意ある姿勢を示し、対話によって得られた貴重な成果を共に守るべきだ」とも語った。

  前向きなトーンは、世界最大の経済大国同士の分断を懸念する投資家を安心させると考えられる。それでも詳細には乏しく、この合意も最終的には首脳レベルで覆される可能性がある。今回の協議ではまた、中国の多額の対米貿易黒字や、中国が米国市場で物品のダンピング(不当廉売)を行っているとの米側の認識といった問題の解決にはほとんどつながらなかった。

レアアースと半導体

  ラトニック氏は「レアアースの供給がなく、米国が講じた措置が幾つかある」と指摘。「そうした措置は、トランプ大統領が述べたように、バランスの取れた形で解除されると考えてよい。中国側がライセンスを承認すれば、われわれの輸出規制の実施も緩和されると期待していいだろう」と説明した

  両国は今回、バッキンガム宮殿近くのランカスター・ハウスで2日間、計約20時間にわたり協議。このうち2日目の10日は12時間余りに及んだ。米中首脳による先週の電話会談を受け、ベッセント米財務長官、ラトニック氏、グリア米通商代表部(USTR)代表が、中国の何立峰副首相率いる中国代表団との交渉に臨み、ベッセント氏は議会証言のため一足先に帰国の途に就いた。

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  グリア氏は、他の会合は予定されていないとしつつも、両国は頻繁に意思疎通しており、必要があれば話し合うことができるとコメントした。

  グリア氏はまた、輸出管理やそれに関連するあらゆる問題に関し、自分が中国側と行ってきた交渉の中で、「輸出管理について彼らが話したがらない会合は一度もなかった」と語った。一方で李氏は、両国が今回成し遂げた前進が信用醸成にプラスとなるよう望むとも語った。

  トランプ政権が対中関税賦課の根拠とした合成麻薬フェンタニルの問題についても、米大統領にとって優先事項だとグリア氏は指摘。「この問題に関し中国側の大きな進展を期待している」と話した。中国外務、商務両省にコメントを要請したが、これまでのところ返答は得られていない。

  今回のロンドンでの協議は、ジュネーブで行われた貿易協議で関税の一時休戦に至った際に、中国政府が表明したレアアース輸出の緩和に関する約束を確実なものにするよう、トランプ政権が強く求めたことを受けて行われた。

  トランプ政権は中国がレアアースの供給再開を遅らせていると非難。半導体設計ソフトウエアやジェットエンジン部品、化学品、核関連物質の対中輸出を制限する措置を講じた。ロンドンでの合意を受け、レアアース供給の緩和と引き換えに、これらの制限は解除される見通しだ。

  重要鉱物の輸出を巡る対立で、米中の経済的対立が再燃し、先に成立したばかりの合意が崩壊する可能性が浮上。世界経済に新たな脅威となる恐れが生じていた。

米中高官はロンドンで行った協議で貿易摩擦の緩和に向けた暫定的な計画で合意

原題:China Says to Continue Trade Talks With US After London Meeting、China Urges US to Comply With ‘Hard-Won’ Deal After London TalksUS, China Officials Agree on Plan That Awaits Xi, Trump Sign-OffUS, China Officials Agree on Plan That Awaits Xi, Trump Sign-OffUS, China Officials Agree on Plan to Reduce Trade Tensions (1)US, China Officials Agree on Plan to Ramp Down Trade TensionsUS, China Officials Say Consensus Reached on Geneva Framework、China Says Reached Consensus With US on Geneva Agreement、US, China Have Reached Framework for Implementation: Lutnick(抜粋)

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