「おバカな精子」はもういらない─デンマークの精子バンクが始めた特殊な「選別」に波紋(クーリエ・ジャポン)
デンマークの精子バンクがドナーへのIQテストを導入した。子供を望む親たちに「知的な子供」をある程度保証する、前例のない選別だ。 【画像】ドナー・ネットワークのドナー例 デンマークの精子バンク「ドナー・ネットワーク」は、ドナーに対して少し特殊な選別をしている。知能指数(IQ)が85以上の男性の精子のみを取り扱うのだ。この「最低要件」について、デンマークの公共放送「DR」は11月8日、「おバカな精子はもう終わり」と見出しを打って報じた。 同社はもう一つ、「前科がないこと」という基準も導入したが、DRが注目しているのはIQに関する選別だ。
取材に応じた同社社長のヤコブ・ショエルハマー・クヌーセン博士は、この新たな基準について、「エリート主義的な計画」ではないと主張する。デンマークの平均IQは100であり、「他社との差別化やドナーグループの20%を排除するための基準ではありません」と話す。「ただ、品質を保証できないものを販売することは、倫理的ではないと考えているのです」 科学的研究を根拠に、「IQの低いドナーの精子から子供を得た場合、その子供の知能が低くなるリスクがはるかに高くなる」と彼は断言する。同社によれば、IQの個人差の「50〜80%」が遺伝的要因だという。 精子提供を希望する男性に対しては、知能を測定する検査(CFT 20-R)が実施される。同社いわく「ドナー・ネットワークは、IQによる基準を設定している世界で唯一の精子バンク」であり、DRによると、集められた精子の大部分は輸出されているという。デンマークはこの分野における先進国の一つだ。 ショエルハマー・クヌーセンは、この選別が生まれてくる子供の人間としての「価値」を保証するものではないと話す。だが、「経済面を含め、人生で成功する可能性に影響を与えるだろう」と考えている。
Courrier international