メタプラネット、21万BTC保有を目指し7,674億円の史上最大の新株予約権発行へ(あたらしい経済)
メタプラネットが、第20回から第22回新株予約権(行使価額修正条項付及び行使停止条項付)の第三者割当による発行を取締役会で決議したことを6月6日に発表した。発行総数は555万個で、調達予定額は約7,674億円となり、日本の資本市場における新株予約権発行として史上最大規模となる。 今回の資金調達は「555ミリオン計画」と呼ばれる新戦略の一環で、この計画で同社は2027年末までに21万BTCの保有を目指す。これはビットコインの総供給量上限2,100万枚の1%に相当し、この水準を保有する「1%クラブ」への参入を狙う野心的な計画だ。 この計画は2月に完了した2億1,000万株の割り当てを行う新株予約権の発行計画「21ミリオン計画」の成功を受けて策定された。同計画は、2年間の行使期間を予定していたものの、市場からの強い支持により3ヶ月余りで全額行使が完了し、約933億円の資金調達に成功した。 メタプラネットは、現在8,888BTCを保有しており、これは時価約1,370億円に相当する。同社の平均取得価格は85,621ドルであるため、含み益はすでに7,000万ドル(約101億円)以上となっている。 また同社のBTC Yield指標は2025年累計で225.4%を達成しており、これはマイクロストラテジー(MicroStrategy)の16.3%を大幅に上回る数値となっている。マイクロストラテジーが19ヶ月かけて達成したmNAV(修正純資産価値)比率を、メタプラネットは3ヶ月で達成したとのことだ。 今回発行される新株予約権の最大の特徴は、行使価額が市場価格を上回る「プレミアム型」である点にある。初回行使価額は1,388円で、取締役会決議日前日の終値1,363円に対して1.83%のプレミアムが付与されている。 なお調達資金の使途として、約7,338億円(95.6%)をビットコインの購入に充当する予定とのことだ。その他、200億円をビットコイン・インカム事業、120億円を社債の返済、15億円を運転資金にそれぞれ充当するという。 メタプラネットの株価は過去12ヶ月で3,600%超の上昇を記録し、日本最高のパフォーマンス株となった。現在の時価総額は約8,055億円に達している。同社の88%の収益はビットコインオプション戦略から生じており、従来のホテル事業からの完全な転換を示している。 同社は2025年5月にフロリダ州に米国子会社Metaplanet Treasury Corp.を設立した。同社は1,000万ドルの初期資本で最大2.5億ドルの資金調達を計画している。これによりグローバル展開と24時間体制での運営が可能になるという。 現在、21万BTCの水準に到達している企業はマイクロストラテジー(580,955 BTC保有)のみで、メタプラネットが目標を達成すれば世界第2位のビットコイン企業となる。同社は「アジアのマイクロストラテジー」から「世界のビットコインチャンピオン」への飛躍を目指しているとのことだ。
田村聖次(幻冬舎 あたらしい経済)