N国・立花氏 襲撃直後の警察官は「次の攻撃に備えていた」取り押さえた一般人に「感謝」
東京・霞が関の路上で街頭活動中に宮西詩音容疑者(30)にナタを振り下ろされた政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏(57)が17日、産経新聞の取材に応じた。犯行直後の動画はSNS上にアップされており、宮西容疑者は一般人男性に取り押さえられ、周囲の警察官は傍観しているようにも見える。ただ、立花氏は警察の対応は「適切だ」といい、「単独犯かどうか断定できる状況ではなく、第2撃に備えた合理的な対応ではなかったか」と指摘する。
犯行直後、周囲を警戒
襲撃した後、宮西容疑者は警察車両に連行されるまで、一般人の男性が抱きしめるように取り押さえていた。当時現場に制服姿の警察官が3人配置されていたというが、宮西容疑者を確保するのではなく、それぞれ別の方角を向いているようだ。
立花氏は「犯人の動きは止まっていた。僕もそこに恐怖は感じなかった」と述べ、警察の対応について「次の動きが起きないか警戒し、僕と一緒に周囲に目を配っていた」と振り返る。
当時、立花氏の周囲には支持者に加え、「アンチ」と呼ばれる批判的な人たちもおり、犯行後しばらく立花氏の支持者に対しても罵声や怒号が飛んでいた。
「現場で反対勢力が勢いづいて、犯人を擁護するような動きが出かねない。その場合に備え、警察は限られた人員の中で、フリーハンドで周囲に気を配っていた」
街頭活動「もうやらない」
立花氏は今後、同党として街頭活動は行わない考えを示す。
「僕は街頭で反対派の意見も聞くようにしていた。分かり合えるかは別にして、話し合うことに意味があると思っていた」と述べ、「ただ、話し合いではなく一方的に暴力で相手の政治家の生命を断つことが目的の人は今回の犯人以外にもいるだろう。同様のことが参院選で起こる可能性はメチャクチャ高い。うちはやらない」と語った。
政治家本人に加え、聴衆やスタッフに被害が及ぶ可能性が否定できないといい、「セキュリティーが万全に守られている場所以外は、各人がネットで発信すればいい」と語る。
一般人男性も負傷
取り押さえた一般人男性は、立花氏に再度襲い掛かろうとする宮西容疑者の左脇に手を入れる形で、その動きを制止していた。振るわれたナタで足を3針縫うけがをしたという。
立花氏はこの男性について「感謝しかない。危険な思いで…けがもされてしまったようで、僕も関係ないとはいえないので申し訳なかった」と語る。
令和5年4月に和歌山市の雑賀崎漁港で岸田文雄首相(当時)が襲撃されるなど街頭活動中の政治家を狙ったテロは近年相次いでいる。安倍晋三元首相は命を落とした。
立花氏は「政治的な争いに暴力が発生することはあってはならない」と述べ、今回けがした一般人男性を「最後の被害者にしなければならない」と強調。政治家が街頭活動する際の安全確保策について党内議論を始めるという。(奥原慎平)