あまりにガラガラ…。Jリーグ収容率ワーストランキング6〜10位。集客に課題を抱えているのは?

 2025年の明治安田Jリーグは前半戦が終了し、各クラブは後半戦に臨んでいる。スタジアムでは多くの観客が訪れて賑わいを見せているが、集客に苦戦し「収容率」が低調なクラブも存在する。今回は、今季前半戦におけるJ1~J3までの各クラブのリーグ戦収容率を計算。残念ながらスタンドの熱狂に欠けたクラブをランキング形式で紹介する。※入場者数は『Jリーグ公式サイト』を参照。成績およびデータは6月15日時点

10位:FC岐阜

【写真:Getty Images】

本拠地:岐阜メモリアルセンター長良川競技場 収容可能人数:16,310人 平均入場者数:3,994人

収容率:24.5%

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 10位はFC岐阜となった。

 今季ここまでの平均入場者数は3,994人と、Jリーグ全体で15番目に少ない数字となっている。第7節の松本山雅FC戦では6,175人という観客数を記録したが、その他の試合はほとんどが4,000人以下。15,000人以上を収容可能な岐阜メモリアルセンター長良川競技場は、空席が目立っている現状だ。

 クラブ自体の集客力がまったく無いとは言えない。J2に所属していた頃は、平均入場者数が安定して6,000人を超えていた。2014シーズンには、同7,584人を記録。この時は、元サッカー日本代表のラモス瑠偉が監督に就任しただけでなく、川口能活や三都主アレサンドロといった、実績のあるベテランを補強するなど、話題性があった。

 しかし、現在は集客アップにつながる要素が見当たらない。クラブは史上初のJ3降格を味わった2019シーズン以降、J2に復帰することはできておらず、観客数もJ2時代から大幅に減少。今季も、現時点で14位と昇格争いにすら絡めておらず、サポーターにとっては、寂しいシーズンになってしまっている。

 2014シーズンと同じレベルは難しいかもしれないが、現状を打破するには、やはりJ2復帰しかない。


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【写真:Getty Images】

 9位は残留争いに苦しむAC長野パルセイロとなった。

 長野は、昨季の平均観客数が4,158人となり、クラブ史上最多記録を更新した。それを受け、今季クラブは年間入場者数の目標を100,000人、平均入場者数の目標を5,000人に引き上げ。また、今年1月には『集客テーマについて』と題し、テーマを「Orange with YoU」に決定したと発表。「このテーマを策定することで、これまで集客において大切にしてきたものをより明確に表現し、長野Uスタジアムへ来場される皆さまに新鮮な体験をお届けすることを目指します」(クラブ公式サイトより)と、しっかり集客面に力を注いでいる。

 しかし、今季ここまでの平均入場者数は3,785人となっており、やや苦戦している。多くの集客が見込める同県の松本山雅FCとのダービーマッチが残っているとはいえ、昨季の同時期から大幅な向上が見られないのは不安だ。現在チームが降格圏ギリギリの18位に沈んでしまっていることも、多少は影響しているだろう。

 長野Uスタジアムは、国内でも有数の球技専用スタジアム。その魅力は間違いなく大きい。ただ、同スタジアムを満席にするには、やはりピッチ内の成績向上は欠かせない。せっかく集客に力を入れても、J3から降格となれば、積み上げてきたものが一気に崩れ落ちてしまうだろう。


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【写真:Getty Images】

 8位はブラウブリッツ秋田となった。

 秋田の平均観客数はシーズンが進むにつれ、着実に増加している。今季ここまでは4,164人で、クラブ史上最多をマークした昨季の4,128人から微増。このペースが続けば、再び記録を更新することになる。

 しかし、収容率は22.4%と、18,560人を収容可能なソユースタジアムは相変わらず空席が目立っている。また、クラブがシーズン前に掲げた「平均入場者数4,800人」という目標にも届いていない現状であり、昨季より増えているとはいえ、まだまだ集客面での課題はありそうだ。

 ただ、後半戦への期待はある。ベガルタ仙台、モンテディオ山形、いわきFCと、同じ東北を本拠地とするクラブとのホームゲームをまだ消化していないため、前半戦から平均値を高めていけるだろう。実際、クラブは今月22日の山形戦で10,000人の来場を目指す「10,000人チャレンジデー」の実施を発表するなど、やはり近県クラブとの試合には、かなり力を入れている。

 3年後の平均入場者数6,000人を目指すと公言した秋田。J2昇格後、入場者数が10,000人を超えたのはたったの1度だけだが、果たして今季、2度目の大台越えなるか。


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【写真:Getty Images】

 今季のJ2で最下位に沈むなど、大苦戦している愛媛FC。ネガティブな空気は、ピッチ内だけでなく、ピッチ外にも広がっている。

 ここまでの平均入場者数は4,582人。昨季の同4,721人から減っている状況だ。すでに、多くの集客が見込める同県のFC今治、同じ四国の徳島ヴォルティスとのホームゲームも消化した中での数字となっており、先述の通り戦績も著しくないことから、後半戦での巻き返しも微妙と言わざるを得ない。クラブは、悲願の「平均入場者数5,000人」を今季の目標に掲げたが、達成できる可能性はいまのところ低そうだ。

 収容率は21.9%で、20,000人超を収容できるニンジニアスタジアムは空席の方が目立っている。クラブの規模と使用するスタジアムのキャパが見合っていないのは明らかだが、それ以上にアクセスの問題は無視できない。最寄駅からの徒歩移動はほぼ不可能。バスを使用するにしても本数が少なく、市街地の混雑による渋滞に巻き込まれる可能性もあり、体感1時間以上かかることも。とくに、アウェイサポーターにとっては過酷な遠征になる。

 こうした現状を改善できなければ、今後の観客数大幅増加は目指せない。さらに、今季J3降格となれば、そのダメージはさらに大きくなること間違いなしだ。

 クラブは今年1月、ファン・サポーターとの「情報交換会」を開催し、新スタジアムについての検討をスタートしたというが、具体的な話はいつ上がってくるだろうか。同県のFC今治に観客数で劣っているいま、余裕はない。


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【写真:Getty Images】

 6位はロアッソ熊本となった。

 今季J2リーグ前半戦終了時点での平均観客数は5,572人。これは決して悪い数字ではなく、J2の中ではむしろ多い方だ。それも、同じ九州を本拠地とする大分トリニータやV・ファーレン長崎らとの対戦を残している中での結果であり、安定した集客ができていると言えるだろう。

 しかし、今回のランキングでワースト10に名を連ねてしまった原因は、シンプルに使用スタジアムのキャパシティーとの相性が悪いからだ。本拠地えがお健康スタジアムの収容可能人数は、Jリーグトップクラスの30,275人。平均5,000人以上の観客数でも、収容率に表すと20%以下に落ち着いてしまう。熊本はこれまで平均観客数が10,000人を超えた例がなく、明らかにスタジアムの規模と人気が見合っていない。

 今後も平均観客数が10,000人の大台に乗る可能性は低いだろう。クラブがなかなか昇格争いに絡めていないことも要因だが、スタジアムへのアクセスにも課題がある。車での来場が前提ながら、駐車場の数が豊富とは言えず、スムーズに出庫できないケースがしばしば。周辺道路の混雑も避けられず、サポーターにとってはストレスのたまる条件が揃ってしまっている。競技場であるため、ピッチと観客席が遠い点も、ネガティブだ。

 新スタジアムの建設が好ましいのは当たり前だが、そう簡単にはいかないのが現実。平均観客数をコツコツ積み上げるうえで、まずはアクセス面の改善に取り組むべきではないだろうか。

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【了】

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