旧日本兵1千人埋葬の地、80年ごし発見 米軍資料の1文が手がかり

有料記事

パラオ・ペリリュー島=足立菜摘 平川仁

 ジャングルに覆われた小さな島で昨年、太平洋戦争で戦死した旧日本兵の集団埋葬地が見つかった。戦後80年の歳月を経て、ここに眠る1千人以上とみられる戦没者が、帰還のときを待っている。

 日本から南に約3千キロ、太平洋に浮かぶパラオ・ペリリュー島。1944年9月15日、南西の砂浜に米軍が上陸し、70日余りに及ぶ戦闘が始まった。旧日本軍は島の高地で持久戦を展開し、全滅に近い約1万人が戦死した。帰還できた人数はわずかだったとされる。

昨年発見された旧日本兵の集団埋葬地。1086人が埋葬されたとの記録が残る=2025年5月5日、パラオ・ペリリュー島、足立菜摘撮影

 この島で、米軍が1086人の旧日本兵を埋葬したとの情報は、終戦翌年の46年8月、米国から日本にもたらされた。

 厚生労働省によると、捕虜や戦没者の情報提供などを定めたジュネーブ条約に基づき、埋葬人数を記した資料が外務省に渡されたという。しかし、その中に具体的な場所を示す手がかりはなく、何も進まない状態が続いた。

 転機は12年前。ペリリュー島を防衛した陸軍の中核を担った「水戸歩兵第二連隊」の遺族や戦友らでつくる「水戸二連隊ペリリュー島慰霊会」が、集団埋葬地の手がかりとなる地図を入手した。

 慰霊会会長の影山幸雄さん(80)=水戸市=は90年代から50回以上、同島を訪れていた。

 数百ある洞窟やうっそうとした密林を捜索し続けているが、遺骨は埋没し、周りの砂やコケと同化して年を追うごとに見つけにくくなる。

 そんな最中の2013年、島で知り合った米国の戦史研究家から「米軍が埋めた日本人のお墓が見つかりましたよ」と連絡を受けた。

地図に「日本人墓地」 それでも調査難航

 電話やメールで聞くと、カリフォルニア州の米海軍設営隊博物館で「JAP CEMETERY(日本人墓地)」と記された地図を見つけたという。

慰霊会が2013年に入手したペリリュー島の地図のコピー。「JAP CEMETERY」と書かれている

 この地図を入手し、厚労省の…

第2次世界大戦では、日本人だけでも300万人以上が犠牲になったと言われています。戦後80年となる今年、あの時代を振り返る意義とは何か。全国各地のニュースをまとめています。[もっと見る]

関連記事: