モバイルバッテリーが… 750万円の「テスラ」廃車のてんまつ

レッカーで運ばれるテスラ=おのださん提供

 ドリンクホルダーに置いていたモバイルバッテリーが発火し、愛車の電気自動車「テスラ」が廃車に――。

 そんな被害に遭ったチャンネル登録者数約50万人の旅行系ユーチューバー、おのださん(39)にてんまつを聞いた。【斎川瞳】

原宿で発火、あわや大惨事に

 5月16日昼ごろ。東京・原宿のショッピングモールの機械式駐車場に2時間ほど車を止め、家族で用事を終えて戻ったときのことだった。

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真ん中のドリンクホルダーは熱で溶け、焼け焦げた助手席のジュニアシートの上にはモバイルバッテリーの残骸が残っていた=おのださん提供

 フロントガラスに大きなひびがあり、慌ててドアを開けると焦げ臭さとプラスチックが燃えたような臭いが鼻を突いた。

 車内はすすだらけ。ドリンクホルダーがどろどろに溶け、助手席のジュニアシートは焼け焦げ、鉄の破片が落ちていた。

 モバイルバッテリーが何らかの原因で爆発。ジュニアシートの上に飛び散った後、自然鎮火したとみられる。衝撃でフロントガラスには大きなひびが入っていた。

 おのださんは「けが人もなく、被害も自分の車だけで済んだのは不幸中の幸い。運転中に爆発したり、他の車やショッピングモールにまで火が及んでいたりしたらと思うと怖いです」と振り返る。

モバイルバッテリーが原因とみられる主な火災①

急増するモバイルバッテリー火災

モバイルバッテリーが原因とみられる主な火災②

 総務省消防庁によると、モバイルバッテリーが原因の火災は年々増加。2025年は482件(前年比192件増)で3年前から約4倍となった。製品事故を調査・分析する独立行政法人「製品評価技術基盤機構(NITE)」によると、落下などによって外部から強い衝撃を与えたり、高温下に放置したり、膨張・変形していたりすると発火の危険があるという。

 NITEは、極端に安価な製品を避け、安全・耐久性基準を満たしていることを示す「PSEマーク」があり、信頼できる販売元から購入することなどを推奨している。

思い出詰まった愛車は「修理困難」

 おのださんのモバイルバッテリーは、25年1月に約1万5000円で購入。中国の有名メーカー製で広く出回っており、プラグとバッテリーが一体となったものだった。

 発火当時、充電はしていなかったし、車内は暑くなかった。落下による衝撃も考えにくいという。

 愛車のテスラはセダンタイプ「モデル3」で、20年9月に750万円で購入。初のマイカーだった。「納車の1カ月後に長女が生まれ、日本各地へ出かけた家族の思い出の詰まった車だっただけにショックは大きいです」と悔やむ。

2020年9月、納車されたテスラの隣で笑顔を見せるおのださん=おのださん提供(画像の一部を加工しています)

 自動車メーカーに問い合わせたが「修理は困難」と言われ、泣く泣く廃車に。加入していた自動車保険は対物・対人補償は無制限だったが、半年前の契約更新で車両補償が外れていたという。「テスラは修理費用が高いため、車両補償を嫌がる保険会社は多い」とし、「新しい車を買わなければならないが、全額自腹です……」とこぼす。

 仕事で世界各地を飛び回るおのださんにとって、モバイルバッテリーは欠かせない商売道具だ。現在、バッテリーメーカーには発火原因などを問い合わせているといい、「今後はバッテリーの保管方法や充電するタイミングに注意します」と引き締める。

 「これから暑くなると発火の危険も増えると思うので、何年も使っているバッテリーは買い替えるなど見直したほうがいいと思います」。おのださんはそう注意を呼び掛けている。

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