ビットコイン、9万ドルまで下落する可能性──トレーダーはFOMCに注目(CoinDesk JAPAN)
ビットコイン(BTC)は5日、9万5000ドル(約1378万円、1ドル145円換算)を下回った。マクロ経済への不確実性が高まり、市場の焦点が今週の連邦公開市場委員会(FOMC)に移る中、トレーダーは現在9万ドルまたはそれ以下への反落の可能性を注視している。 今回の反落は、2週間にわたる力強い上昇局面の後に起きたものだ。この期間にビットコインは一時9万8000ドルを超え、個人投資家や機関投資家からの資金を呼び込んだ。しかし、一部のアナリストは、テクニカル面でのリスクとマクロ面でのリスクが重なることで価格がさらに下押しされる可能性があると警告している。 FxProのアレックス・クプツィケビッチ(Alex Kuptsikevich)氏はCoinDeskへのメールで、「12月から2月にかけてサポートとして機能していた重要なレジスタンスゾーンに戻った」と指摘した。 また同氏は、「次の下値目標は9万2500ドルと8万9000ドルだ。9万ドルを完全に下抜ければ、テクニカル的にも心理的にも打撃となり、200日移動平均線を下回るだろう」と述べた。 トレーダーは、ビットコイン価格に大きな影響を与える傾向にある、現在行われている米中関税協議の動向を注視し、今週予定されているFOMCを待っている。 FRBは7日に政策金利を据え置くと広く予想されているが、トレーダーは経済見通しや今後の利下げに関する明確性を求めてコメントを注視するだろう。 シンガポールに拠点を置くQCPキャピタル(QCP Capital)は朝の速報で、「堅調なデータと貿易面での緊張緩和への期待が相まって、市場が解放の日(Liberation Day)後の売りから回復するのを支えた」と述べた。 QCPキャピタルはさらに、「しかし、決算シーズンが終盤を迎え、注目はFRBと米中貿易の動向に移っている。個人消費支出(PCE)データはインフレ圧力の緩和を示しているものの、輸入関税の引き上げは物価の不安定さを再燃させるリスクがある。FRBが利下げを求めるトランプ大統領からの政治的圧力に抵抗し続けるのか、それともスタンスの転換を検討するのかが重要な問題であり続けている」と述べた。 短期的な反落にもかかわらず、現物ビットコインETF(上場投資信託)への資金流入は続いている。SoSoValueによると、先週の純流入額は合計18億1000万ドル(約2625億円)だった。 しかし、オンチェーン指標は警戒が必要かもしれないと示唆している。グラスノード(Glassnode)は、長期ビットコイン保有者の累積未実現利益が350%近くに達したと警告している。歴史的に見て、この水準は大規模な利益確定の時期に先立って現れる。 グラスノードはX(旧Twitter)で、歴史的に長期保有者は未実現利益率が350%付近でより積極的に売却を開始するとした上で、これはビットコイン価格約9万9900ドルと一致すると指摘。市場がこの水準に近づくと、売り圧力が高まる可能性が高く、それを吸収するには強い需要が必要になると述べた。 一方、サンティメント(Santiment)のデータによると、ミームコインの話題はここ数週間で2025年のピークに達した。これは、トレーダーが数カ月にわたって主要暗号資産やETFに資金を振り向けた後、よりリスクの高い投資へと回帰している可能性を示す兆候だ。 しかし、この変化は全般的な持続的上昇にはつながっていない。イーロン・マスク(Elon Musk)氏が最近言及した、AIチャットボットのパロディアカウントに関連するミームコイン「GORK」は、著名人からの注目にもかかわらず上値を伸ばすことができなかった。これは、5日のクリプト・デイブック(Crypto Daybook)で報じた通り、現在の環境では著名人主導の価格つり上げが勢いを失っている可能性があることを示唆している。 |翻訳・編集:林理南|画像:jarmoluk/Pixabay|原文:Bitcoin Could Slide to $90K as BTC Traders Eye Fed Meeting
CoinDesk Japan 編集部