スマホが世界的な出生率低下の原因?

Ece Yildirim - GIZMODO US[原文]岩田リョウコ / GIZMODOライター )
Photo: Bogdan Sonjachnyj/ Shutterstock.com

え?と思ったけど、確かにそうかもしれない。

2000年代初頭から出生率はずっと下がり続けています。しかも世界全体で、です。その背景には、性教育の充実や避妊の普及、そして子育てが経済的に難しいことなどがあるとされてきました。

ある研究者によって、もうひとつの要因が発見されました。出生率が下がり始めた2000年代初頭に私たちの生活に入り込んできたあるものです。

それは社会を完全に席巻してきたテクノロジー、そうスマートフォンです

iPhoneの普及と出生率の関係

全米経済研究所が公開した新しい研究論文が、アメリカで最も売れているスマートフォンでもあるAppleのiPhoneが、出生率の低下にどのように関わっていたのかを説明しています。

iPhoneは2007年の発売から2011年2月までアメリカでは通信会社AT&Tの独占販売だったので、研究者たちはAT&Tのモバイルブロードバンドがカバーしている範囲を、初期のiPhone普及を測る代理指標として研究しています。

そのうえで、AT&Tのネットワークが使えた地域と、ほとんど、あるいはまったく使えなかった地域の出生率を比較しました。

論文には、「iPhone・スマートフォン時代は、2007年以降のアメリカの出生率低下を実質的に加速させています」と書かれています。この研究では、2007年から2011年にかけての出生率低下のうち、最大52%がiPhoneによるものだと推計されているのです。

3つのメカニズム

この結果を全国調査のデータと組み合わせて、研究者たちは、iPhoneが出生率に影響したと考えられる3つのメカニズムを挙げています。

ひとつめは、スマートフォンの普及がもたらしたオンラインでのつながりと、ソーシャルメディアの台頭によって、iPhoneが対面での交流の代わりになったこと。iPhoneが社交の主な手段になればなるほど、人々が直接会う機会は減り、性的な出会いも起こりにくなったとしています。

ふたつめは、iPhoneによってアダルトコンテンツにアクセスしやすくなったことです。一部の人にとっては、これがリアルなセックスの代わりになっていたと考えられるというのです。

「スマートフォンが普及するにつれて、友人と直接会って過ごす時間や性行為は激減し、その一方で、パートナーとのセックスの代替になりうるアダルトビデオの消費は増えていきました」と研究者たちは書いています。

最後に、セックスをしている人たちも、スマートフォンのおかげで避妊や中絶に関する情報にアクセスしやすくなったことで、意図しない妊娠の割合が下がったのではないか、と研究者たちは考えている模様。

スマートフォンの影響はすべての年齢層で見られましたが、特に若い世代で顕著であったと、研究者たちは指摘しています。Z世代は、スマートフォンが広く使われる環境で育った初めての世代です。

特に影響の強いZ世代

こうした時代背景から、専門家たちが「こうした育ち方の結果」と主張するメンタルヘルスの問題を直接受けた、最大の被害者がZ世代だとも考えられています。

未成年のSNS利用を禁止しようという世界的な規制の動きを牽引する存在として知られる、アメリカの社会心理学者ジョナサン・ハイト氏は、著書『The Anxious Generation(不安の世代)』の中で、思春期にスマートフォンがあふれていたことが、1995年以降に生まれた人たちの脳を根本から作り変えてしまったと論じています。

ちなみにZ世代は、ほかの世代に比べてセックスをする頻度が少ないと、ネット上でも指摘・批判されている世代です。

また、4月に発表された、同様のテーマを扱った研究論文には、シンシナティ大学の研究者たちによる「128カ国における10代の出生率が、スマートフォンが大衆化した2007年頃を境に劇的に下がり始めた」という主張が書かれています。

先ほどの論文と似た手法を使い、地域別の高速モバイルネットワークのデータと10代の出生率を比較したところ、ミドルベリー大学の研究者たちが出した結果とよく似た関係性が見つかったのだそう。

スマートフォンが10代の若者同士の時間の過ごし方を変えたことで、世界中で10代の出生率はさらに下がった、と研究者たちは述べています。そして、それと同時にちょっと気がかりなある数字も急増していることがわかりました。

10代の出生率の急落を生み出したのと同じ仕組みが、10代の自殺の急増も生み出しています。

と、シンシナティ大学の研究者たちは主張しているのです。

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