ソニーG、金融除き今期営業益横ばい 米関税影響1000億円と試算
スピンオフ(分離)を予定している金融事業は非継続事業として除外して算出した。米関税のマイナス影響は営業利益ベースで1000億円とし、関税影響がなかった場合の増益分を打ち消す格好となっている。
連結売上高は同2.9%減の11兆7000億円の見通し。
十時裕樹社長は会見で、米関税など不透明感の強いなか「足元で大きな変化が起きているかというと我々のビジネスでは起きていない」としながらも、米雇用の動向など景況感を注視する考えを示した。
陶琳・最高財務責任者(CFO)は、米関税の影響、グローバルでの景気減速懸念など不透明な事業環境を踏まえ「今期の事業は慎重かつ保守的な想定のもと進める」と述べた。24―27年度の戦略投資は1.8兆円、設備投資は1.7兆円を計画しており、現段階で変更はしていないが「今後事業環境に大きな変化があった場合、キャピタルアロケーションを迅速かつ柔軟に見直していく」と述べた。
今期見通しは、4月に発表された米相互関税の税率が、上乗せ分停止期間の終了後に全面的に適用され、それ以外の関税措置については4月末の状況が継続することを前提とした。米中の関税合意は織り込んでいない。
ソニーは先月、インフレ率の上昇と為替レートの変動を理由に、欧州と英国でプレイステーション(PS)5の価格を引き上げた。また、米国での在庫を積み増し、ハードウェアの生産地も多様化している。関税に対しては「今後の状況変化を見極めながら、適切なタイミングでの追加施策を実行していく」(陶CFO)とした。
PS5の出荷は1500万台(前期は1850万台)を想定しているが、不透明な環境の中、量を追うことなく、適切な生産地や出荷量を考えていく方針。現在、PS5は中国を含む4カ国で生産している。
陶CFOは、半導体について「これまでのところ、米追加関税の影響で顧客の発注見込みなどに変化は見られない」と述べた。
金融事業以外のスピンオフの可能性について、十時社長は「他の事業で現時点で計画しているものはない。引き続き、必要があればそういう施策も検討の選択肢としては考えていくが、短期的に何かをすることは考えていない」と述べた。
想定為替レートは1ドル=143円前後(前期は152.5円)、1ユーロ=153円前後(同163.6円)。
25年3月期の営業利益は同16.4%増の1兆4071億円となり、1兆3350億円の会社計画を上振れた。金融を除くベースでは同23.3%増の1兆2766億円となり、過去最高を更新した。
ネットワークサービスや自社制作以外のゲームソフトの販売増、モバイル機器向けイメージセンサーの増収が寄与したほか、為替円安も利益を押し上げた。
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